「口の中がネバ付いて気持ち悪い」「口内炎が治りにくい」など、口内環境で悩んでいる人もいるでしょう。悩みがあると1日中気になってしまいますよね。それに、口内環境を整えることは健康な生活の基本です。高齢になっても口内環境が良い人は、自分の口から食事ができるだけでなく、生き生きとしています。むし歯や歯周病などが無いことは、生活の質を高めるのです。今回は、口内環境を改善するために必要なことや悪化の原因を解説します。毎日健康で快適な生活を送るためにも、ぜひ最後まで読んでください。
この記事を読むことで、口内環境を整えるために必要なことがわかり、改善できるようになります。今、口内環境に問題がある人も適切な改善法を行うことで悩みを解消することができるでしょう。まずは、記事の内容をひとつずつ確認しながら読み進めてください。
口内環境の基礎知識
最初に、口内環境の基礎知識を身に付けましょう。基本を理解することは、正しいケアを行うためにも大切です。
1-1.口内環境とは?
口は、食事を体内に取り入れるためだけでなく、呼吸をするための器官でもあります。そのため、常に適切な状態にケアしておくことが健康な生活を送るために欠かすことができません。食べものは時間が経過すると腐敗し、雑菌が繁殖しやすくなります。口から入り込んだウイルスは風邪などの病気の原因となるのです。むし歯や歯周病・風邪などの感染病になりやすい人は、口内環境の悪化を疑いましょう。
1-2.口内のメカニズム
口内には、以下の器官があります。
- 歯:食べものを消化しやすいように細かく砕く
- 舌:味や温冷を感じ、体に悪いものを察知する
- 唾液腺:唾液を分泌する
口内の最も大切な役目は、食べものを安全に消化器官に届けるということです。そのほか、唇・上あご・下あごなども連携して「食べる」「話す」ための働きをしています。
1-3.口内細菌について
口内には、想像以上の数の細菌が住んでいます。なんと300から700種類の細菌がいるというのですから驚きです。また、細菌の数は清潔にしている人でも1,000億個、歯をほぼ磨かない人になると1兆個に達することもあります。口内細菌が多いことで良いことはひとつもありません。できるだけ口内細菌を減らすためにも、きちんとケアをすることが大切です。
1-4.唾液の重要性
唾液は、水分により食べものをかみやすくしたり、消化酵素のひとつである唾液アミラーゼにより消化を促したりするなど、重要な役割を持っています。さらに、唾液には殺菌効果があり、口内の雑菌の繁殖を防止する役目があるため、重要です。何らかの原因で唾液の分泌が低下すると、口内環境が悪化しやすくなるので注意しましょう。
1-5.口内環境の重要性
口内環境を整えることは、全身の健康を維持するためにとても重要なことです。全身が健康で楽しく暮らしている人は、口内環境も良好であることが多くなります。歯周病菌などの細菌の繁殖を抑えることで、病気になりづらくなるからです。健康な心身で長寿を迎えたいのなら、口内環境のケアに努めましょう。
口内環境が悪化する原因は?
口内環境が悪化する原因を考えましょう。主な原因や食べものとの関係だけでなく、口内環境が悪くなりやすい人についても解説します。
2-1.主な原因は?
口内環境が悪化する主な原因は不規則な生活や食生活の乱れにあるでしょう。オーラルケアを見直しても、生活習慣の改善をしないことには、効果が半減してしまうのです。まずは、自分自身の生活習慣を見直し、口内環境をよくするために必要なことを学びましょう。また、間違ったケアを続けている可能性もあります。今までの方法で正しいのかどうかもチェックしてください。
2-2.アルカリ性・酸性の食べものと口内環境の関係
酸性の食べものは、歯のエナメル質を溶かしてしまいます。たとえば、甘いものや炭酸飲料などの酸性食品は、口内に長くとどめてはいけません。酸性食品を口にした場合は、歯磨きなどを特に念入りにしてください。また、できれば口にしないことも効果的です。なお、アルカリ性の食べものは酸性に傾いた口内環境を中和し、ペーハーバランスを整えてくれます。野菜や海藻類・キノコ類などに多く含まれているので、積極的に食べてください。
2-3.口内環境の悪化を放置するとどうなる?
口内環境の悪化を放置すると、全身に悪影響が出てきます。歯がぼろぼろになり、はぐきに異常が出て不快なだけではありません。食べづらくなると全身の栄養状態が悪くなり、感染症や病気にかかりやすくなります。また、無意識のうちにストレスとなるものです。確かに、口内環境の悪化はすぐに命にかかわるものではありません。しかし、じわじわと全身に悪影響を及ぼすのは事実なので改善が必要なのです。
2-4.口内環境が悪くなりやすい人
以下に当てはまる人は、口内環境が悪くなりやすいので気を付けましょう。
- 早食い(よくかんで食べない)
- 甘いものが好き
- お酒が好き
- 歯磨きがいい加減
- 大きなストレスを感じている
- 口呼吸をしている
- 睡眠不足
- 不規則な生活リズム
- 喫煙者
- 子ども
- 妊婦
- 高齢者
2-5.子ども・高齢者・妊婦の口内環境について
子どもは、乳歯から永久歯に生えかわる大切な時期です。まだ乳歯だから大丈夫と軽く見ていると生えてくる永久歯がむし歯になることもあるので気を付けましょう。子どもの口内環境をチェックし、適切なケアができるように指導するのは親の役目です。高齢者は、唾液の分泌が少なくなるため、口内環境が悪化しやすくなります。さらに、歯磨きを面倒に思うことが多く、衛生観念の低下からまったくしなくなることもあるので注意してください。妊婦は、ホルモンバランスの変化により口内環境が悪化しやすくなっています。歯ぐきの腫れなどの異常を感じたら、かかりつけ医に相談したり口内ケアをしっかり行ったりしましょう。妊娠中は飲み薬などに制約が出ます。出産後に本格的な治療を受けるにしても、できることはしておきましょう。
口内環境の悪化による症状について
口内環境が悪化するとさまざまな症状が出てきます。ここでは、主なものについて詳しく解説しましょう。
3-1.口臭が気になる
口内環境が悪化すると、食べかすが腐敗して雑菌が繁殖するため、ひどい口臭を発します。また、歯周病などで膿(うみ)が出ると独特の悪臭がするものです。自分では気が付かなくても、人から「口臭が気になる」などの指摘を受けた場合は状況が悪化している証拠と考えましょう。
3-2.口内炎になる
口内環境が悪化しているときは、口内炎になりやすくなります。粘膜が白っぽくただれたり、赤みを帯びて痛みを感じたりしたときは口内炎です。口内炎は、口内環境の悪化による雑菌の増殖でも起こります。治療を進めるためにも、口内環境を改善しましょう。
3-3.むし歯になる
むし歯になることは、口内環境が明らかに悪化していることを意味します。きちんとケアできていれば、むし歯菌も繁殖しないで済んだからです。むし歯になっている人は、口内環境の改善を今すぐしてください。また、早期治療を心がけてむし歯の進行を止めましょう。
3-4.歯周病になる
口内環境が悪化すると、歯周病になります。歯が痛いと感じたとき、むし歯ではなく歯周病だったという例もあるのです。現在、大人の多くが歯周病にかかっていると言われています。歯ぐきの腫れや出血、白い膿(うみ)が出るなどの症状があるときは、速やかに治療を開始しましょう。歯周病を甘く見ていると、歯を失う・心臓病のリスクが高まるなどの結果を招きますよ。
3-5.そのほかの症状
口内環境が悪化すると、歯がぐらついたり歯ぐきが腫れて食事がしづらくなったりすることがあります。食べものがおいしいと感じることができるのは、良い口内環境であることが大前提です。口内環境が悪いせいで食事がおいしく感じなくなり、結果的に栄養バランスが崩れて全身の健康状態の悪化につながりやすくなるので気を付けましょう。
口内環境を整える・改善するための方法
口内環境を整え、改善するための方法を解説します。セルフチェックの方法や注意すべき症状について理解しましょう。
4-1.口内環境のセルフチェックをしてみよう
以下の点に当てはまるか、チェックしてみましょう。
- むし歯がある
- 歯周病がある(歯ぐきの腫れ・出血など)
- 口内炎ができやすい
- 口臭がひどい(人から口臭があると指摘を受けた)
- 口の中がネバ付く
- 歯石や歯垢(しこう)が付いている
- 歯に食べものが挟まりやすい
- 歯が長くなってきた
- 歯を押すとぐらぐらする
- 舌に白いものが付着している
- ドライマウスである
上記の点に心当たりがあるときは、口内環境が悪化しています。すぐに適切なケアや治療を始めましょう。
4-2.こんな症状には注意しよう
セルフチェックの項目の中でも、むし歯や歯周病は放置しないで治療をすることが大切です。たいしたことが無いと思っているうちに、どんどん悪化するので注意してください。特に、歯ぐきから出血があるときは毛細血管から歯周病菌が入り込み、全身に回ってしまうことがあります。歯周病菌は、心筋梗塞のリスクを高めると言われているので気を付けましょう。
4-3.舌が白いのは何のサイン?
鏡で舌をチェックすると、表面に白いものが付着していることがあります。舌の上の白いものは「舌苔(ぜったい)」と言い、汚れが定着している状態です。口内環境が悪化しているサインと考えましょう。舌専用のブラシを使ってブラッシングすると同時に、口内環境を改善するように努力してください。
口内環境を整える・改善するための方法
口内環境を整えたり改善したりするための方法を具体的に解説します。いずれの方法も効果があるのでしっかり学びましょう
5-1.歯磨きやオーラルケアについて
「毎食後、必ず歯磨きをしている」という人でも、口内環境が悪い例があります。歯磨きは正しい方法ですることが大切です。まずは、自分が正しくブラッシングできているかチェックしてみましょう。力任せにブラッシングすればいいというものではありません。歯ブラシは毛先が柔らかく細いものを選び、時間をかけて1本ずつ磨くように心がけてください。また、歯医者でブラッシング指導を受けるのも良い方法です。正しいオーラルケアの方法は、プロに聞くのが一番でしょう。
5-2.唾液を増やす生活習慣を心がけよう
唾液の分泌が増えれば、口内環境の改善に役立ちます。唾液を増やす方法の中でも、舌を大きく動かして唾液腺を刺激しましょう。舌を大きく動かすことは顔の筋肉のトレーニングにもなるため、顔のリフトアップ効果も出るはずです。人前で行うのが恥ずかしいのなら、洗面所などで鏡を見ながらやるといいでしょう。また、水分を多く摂(と)ることも大切です。唾液はほとんどが水分であるため、体が脱水状態では唾液の分泌が少なくなってしまいますからね。
5-3.口呼吸の改善も効果がある
いつも口をぽかんと開けている人は、無意識に口呼吸をしているものです。口呼吸は、空気中の雑菌をそのまま口内に取り込んでしまい、風邪や感染症のリスクが上がります。また、唾液が乾いてしまうので口内環境が悪化しやすくなるでしょう。口呼吸を改善することは、口内環境を整えるためにも必要不可欠です。
5-4.食べもの・サプリ・ガムの活用
特定の食べものばかりを食べるのではなく、酸性食品(肉・ごはん・甘いものなど)とアルカリ性食品(野菜・海藻類・キノコ類など)をバランスよく食べることが大切です。特に口内環境の改善が必要なときは、酸性食品を控えめにするといいでしょう。なお、口内環境を改善するサプリやガムを上手(じょうず)に利用することもおすすめします。口に入れるものにかんして意識を高く持つことが重要です。
5-5.うがいや液体歯磨きを使う
歯磨きだけでは、オーラルケアを完全にしているとは言えません。たとえば、うがいや液体歯磨きを使うことで歯ブラシでは届かない部分の汚れや雑菌をキレイにすることができます。ブラッシングでの歯磨きに加え、うがいや液体歯磨きを活用することでより良い口内環境を実現できるでしょう。
5-6.口内環境を整えるためのそのほかの方法
普段から、水をたっぷり飲んでください。口内環境が悪化している人は、隠れ脱水になっていることも多いからです。水分をたっぷり飲むことは、唾液の分泌を促すことにもなります。また、口内の雑菌を洗い流しやすくする効果もあるものです。なお、甘いジュースやスポーツ飲料では逆効果なので注意しましょう。あくまでも、水やお茶など無糖の飲みものを選んでください。
口内環境の改善でよくある質問
最後に、口内環境の改善でよくある質問に回答します。美しく健康な口元を手に入れるためにも、それぞれしっかりチェックしておきましょう。
6-1.食後すぐに歯磨きをしない方がいいと聞いたのですが?
基本的には、食後すぐの歯磨きでも構いません。ただし、炭酸飲料や甘いものを食べた後は、歯の表面が傷付きやすくなっています。そのため、ブラッシングが歯を傷める原因となることから、食後すぐの歯磨きをおすすめしないこともあるのです。唾液の殺菌力を期待して食後は数十分程度歯磨きをしない方が良いとの考えもあります。しかし、歯磨きを忘れることで長時間食べかすが口内にとどまる方が悪影響です。おおよそ、食後30分以内に歯磨きをすることを心がけてください。
6-2.歯並びが悪い人が普段のケアで気を付けるべきことは?
歯並びが悪いと、歯磨きで磨き残しが出やすくなります。液体歯磨きや歯間ブラシを使って、歯ブラシが届きにくい部分のケアをしてください。なお、できるなら歯科矯正も視野に入れるといいでしょう。歯並びを改善できれば、ケアも簡単になり良好な環境を保ちやすくなります。また、見た目にも美しくなるなどさまざまなメリットがあるので積極的に検討してみてください。
6-3.子どもが歯磨きを嫌がるので困るのですが良い方法は?
歯磨きを題材にした絵本を読んでむし歯の怖さを教えるのがいいでしょう。また、親が実際にやってみせることも大切です。親ができているからこそ、子どもも見習います。また、子どもの好きな味の歯磨き粉や好きなキャラクターの歯ブラシを使うことも効果的です。歯磨きは楽しくてとてもいいことなのだ、と教えてみましょう。
6-4.何をやっても口臭が消えないのですが原因は何がありますか?
自分では気づかない部分に汚れが溜(た)まっていて悪臭を放っていることもあります。まずは、歯科医に相談してみてください。なお、適切なケアをしているのに口臭が消えないときは、内臓の不調が疑われます。胃の調子が悪いなどの可能性があるため、内科に相談してみるといいでしょう。
6-5.むし歯でもないのに歯医者に行くのは恥ずかしくありませんか?
むし歯でなくても、ぜひ歯医者に行きましょう。自分ではむし歯が無いと思っていても、歯科医のチェックで初期むし歯を発見することもあります。また、歯周病の早期治療にも役立つものです。定期的にプロの目でチェックを受けることは、口内環境の改善に欠かすことができません。普段から適切なケアを続け、定期的に歯医者でチェックを受けることが理想です。
まとめ
今回は、口内環境の改善に必要な知識を詳しく解説しました。口内環境を良好に保つことは、清潔で美しい口元を演出するためだけではありません。むし歯や歯周病などを予防し、健康な心身を作るための原点なのです。口内環境が悪化すると、食事がうまく摂(と)れなくなることで全身の栄養状態が悪くなり、感染症や病気にかかりやすくなります。健康で長生きをしたいのなら、今のうちからきちんとしてケアを始めましょう。