歯茎が下がる原因が知りたい! 治療法や予防法をチェックしよう!

鏡で自分の歯を見るたびに、「歯茎が下がっている」と感じる方は、歯周病など口腔(こうくう)トラブルになっている可能性があります。原因を明確にしなければ適切な治療法が分からず、改善できません。また、そのまま放置してしまえば、さらに歯茎が下がる可能性があるので、早期治療を受けることが大切です。そこで、本記事では、歯茎が下がる原因やセルフチェック・歯茎を上げるコツ・治療法・予防法について説明します。

この記事を読むことで、歯茎が下がる原因が分かり、適切な処置を行うことができます。悩んでいる方や治療をしたい方は、ぜひ参考にしてください。

歯茎が下がる原因

下がった歯茎をもとに戻すためには、原因を突き止めなければなりません。歯茎が下がる状態や主な原因・放置の危険性について詳しく説明します。

1-1.歯茎が下がるとは

「最近、歯茎が痩せたような気がする」「歯が伸びている感じがする」と思っている方は、歯茎が下がってる状態です。歯茎が下がると、歯が長く伸びているように見えます。歯茎がどんどん下がるため、歯の根元が肉眼で見えるようになるのです。

1-2.主な原因

歯茎が下がる原因は、人によってバラバラです。主な原因としては、加齢・歯磨きの方法・歯並び・歯周病などがあります。一般的に、歯茎は10年で2mm程度下がると言われており、20代と50代とでは歯茎の後退状況がまったく異なるのです。歯磨きの仕方が間違っていれば、歯茎に余計な刺激を与えてしまい、後退の原因になります。また、もとから歯並びが悪く、歯が外側に押し出されるような力がかかる歯(八重歯など)ほど、歯茎が下がりやすいのです。そして、最も多い原因が歯周病であり、歯槽骨(しそうこつ)が溶けることで歯茎も後退します。歯槽骨とは、歯の土台となる部分です。虫歯・歯周病のもととなる菌が繁殖すると、歯槽骨が溶け、歯茎も一緒に下がります。

1-3.放置するとどうなるか

下がる歯茎を放置すると、歯茎が痩せて歯が長く伸びた状態になります。歯を支えている歯槽骨が溶けて、根本が丸だしな状態になるのです。その結果、歯が不安定になり、歯並びが悪くなります。最悪な状態になれば、自然と歯が抜け落ちてしまうでしょう。歯周病による歯茎下がりは、早めの治療が大切です。

歯茎が下がる~セルフチェック

自分の歯茎が下がっているのかは、セルフチェックをしてみてください。気軽にできるチェック方法と注意点について説明します。

2-1.セルフチェック項目

まずは、鏡の前で歯・歯茎の状態を観察してみましょう。歯茎が痩せていたり、歯が長く伸びていたりしていませんか? 実際に、肉眼で確認した後に、以下の項目をチェックしてみてください。

  • 歯のすき間があり、しゃべるときに空気が抜けていく感じがある
  • 「さしすせそ」が言えない・発音しにくい
  • 最近、冷たいものがしみやすい
  • 前歯の歯と歯の間にすき間ができている
  • 歯と歯茎の境目を見ると、歯の色が違う
  • 食事の後に、必ず食べものが歯の間に詰まってしまう

以上の項目に2点以上当てはまる方は、歯茎が下がっている可能性があります。歯茎の変化に気づくためには、毎日鏡の前でチェックすることが大切です。

2-2.注意点

歯茎の後退は、いつの間にか進行しているときがあります。「まだ大丈夫かな」と放置していたら、だいぶ下がっていた……ということもあるのです。セルフチェック項目で2点以上当てはまらずとも、1つでも心当たりがある方は注意して確認したほうが良いでしょう。口腔内にある細菌は、増殖スピードが速いため、早めに歯医者を受診したほうが安心できます。

下がった歯茎を治療する方法

下がった歯茎は、果たしてもとに戻すことができるのでしょうか。自然治癒や治療すべき状態・治療方法・病院の選び方などについて詳しく説明します。

3-1.自然に治るか?

一生治らないものではなく、歯茎の下がり具合が軽い程度であれば、セルフケアで戻ることもあります。軽度の場合は、歯磨きによる磨き過ぎが原因です。歯磨きをすれば良いわけではなく、正しいブラッシングと頻度が大切になります。
しかし、セルフケアで治るのは軽症の場合だけで、下がり具合がひどい場合は歯医者で専門的な治療を受けなければなりません。検査で原因を突き止め、適切な方法で治療を続けることで、少しずつ歯茎がもとの位置に戻るでしょう。また、治療法も歯茎下がりの進行具合で変わるため、きちんと検査を行う歯医者を選ばなければなりません。歯茎下がりの治療方法については、後ほど【3-3.治療方法】で説明するので、ぜひチェックしてください。

3-2.治療すべき状態とは

歯茎の下がり具合がひどい場合は、治療すべき状態です。症状が進行しているときは、セルフケアで対処できません。歯医者で歯茎再生のための治療を受けることが改善につながります。また、歯がグラグラする・歯並びやかみ合わせが悪くなる・歯茎が痛い場合も、すぐに歯医者へ相談してください。何かしらの原因で、歯茎に異常が起き、下がる可能性があります。毎日鏡の前で歯茎の状態をチェックして、異常が起きた場合はすぐに診せるように気をつけておきましょう。

3-3.治療方法について

主な治療法には、「遊離歯肉移植」と「結合組織移植」という代表的な2つの方法があります。
遊離歯肉移植は、見た目の回復を強く希望する場合に行われる治療法です。歯茎が下がっている部分以外の部位から歯茎を切除し、切除した歯茎を移植します。見た目がキレイになるメリットがありますが、完全に歯の全周囲の歯茎が下がっている場合はできません。また、保険適応外となるため、3万~6万円ほどの治療費がかかります。
一方、結合組織移植は、GTR法と呼ばれており、歯根膜を歯の根の露出した部分に誘導し、そこで再生させる方法です。歯根膜が再生すれば、歯槽骨が回復し、歯茎も改善します。ただし、歯と歯の間の歯槽骨や歯茎が極端に下がってしまった場合は、難しくなる傾向があるので要注意です。保健治療の適応範囲内となりますが、特殊な膜を使用する場合は適応外となり、治療費が5万前後ほどかかります。

3-4.歯医者の選び方

適切な治療を受けられるかどうかは、歯医者の選び方に左右されるでしょう。安心して治療を受けるためには、信頼できる歯医者を選ばなければなりません。歯医者選びで悩んだときは、以下の項目に注目してください。

  • 丁寧な説明や親切な対応か
  • 虫歯や歯周病などの予防歯科に力を入れているか
  • 歯茎のケアや治療の実績・経験があるか
  • 歯科衛生士や歯科医師・スタッフなどの紹介があるか
  • レントゲン撮影や検査などを行っているか
  • ホームページに治療事例が記載されているか
  • 口コミ・評判が良いか
  • 予約しやすい・訪れやすいか

この中でも、特に注意してほしいのが「丁寧な説明とスタッフの対応」です。きちんと原因を突き止め、治療に関する説明をしてくれなければ安心して受診することができませんよね。優良な歯医者は、分かりやすい説明と親切な対応を徹底しています。

3-5.注意点

下がった歯茎の治療は、セルフケアと歯医者などの病院で行うケアのダブルケアを行うからこそ、改善できます。歯医者で治療を受けるから、と自宅でケアをしなければ意味がありません。歯茎が下がる原因は、歯磨きの誤ったやり方などもあるため、改めてセルフケアを見直してください。正しいセルフケアをしているのか不安な方は、歯医者に尋ねてみると良いでしょう。歯茎の治療は、自宅で行う正しいケアと歯医者で行う専門ケアが大切です。

歯茎が下がらないようにする予防法

歯茎が下がらないようにするためには、自分自身の努力・工夫が大きなポイントです。ここでは、具体的な予防法や注意点について説明します。

4-1.主な予防法

最も効果的な予防法は、歯磨きの仕方を見直すことです。「正しい歯磨きをしている」と思っていても、実は誤ったやり方をしている方がたくさんいます。正しく行うことで、歯茎の後退だけでなく、歯周病や虫歯の進行防止にもつながるのです。正しい歯磨きのポイントは、以下のとおりになります。

  • 毛先を歯の面にやさしくあてる
  • 歯肉の境目や歯と歯の間にもきちんとあてる
  • 歯ブラシの毛先が広がらない程度に、軽い力で動かす
  • 5~10mmの幅を目安に小刻みで動かし、1~2本ずつ磨く
  • 歯垢(プラーク)をしっかりと取りのぞくことが大切

以上のポイントを踏まえながら、歯磨きをしてください。つい、強い力で磨いてしまいがちですが、軽く歯にあてるくらいの力で十分です。力を入れ過ぎてしまうと、逆に歯茎に過剰な刺激を与えてしまい、痛みが出る恐れがあります。実際に、歯磨きのやり方をマスターしたい人は、歯医者で教えてもらうと良いでしょう。

4-2.注意点

歯磨きだけでは、食べかすや歯垢が取りのぞけない場合があります。歯磨きをしても歯の間に詰まっているものがあれば、デンタルフロスを活用してください。また、健康的な口腔環境を維持するために、日々の生活習慣や食生活を改善することも大切です。乱れている方は、この機会に正してください。

歯茎に関してよくある質問

歯茎に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。下がる歯茎で悩んでいる方は、ぜひチェックしてください。

5-1.歯茎が下がると同時に現れる症状とは?

歯茎が下がってくると、歯が大きく見えるようになるほか、歯の根が露出し始めます。冷たいものを口にすると歯茎がしみたり、歯に痛みが走ったりすることもあるでしょう。また、歯周病の進行によって、歯磨きをするたびに歯茎から血が出ることも多々あります。普段の生活をしていて、何かしらの異常が現れたときは、すぐに歯医者で検査してください。

5-2.歯並びが悪くなる原因とは?

歯茎の後退は、歯並びの悪さも大きく関係しています。歯並びが悪い人に共通しているのは、顎が小さく、歯のスペースが狭いことです。八重歯なども歯のスペースがないことが原因となります。歯のスペースを確保するための抜歯をせず、無理な矯正をすると、歯茎の後退につながるので要注意です。歯並びの状態や顎のサイズなどを確認してから、適切な矯正を行わなければなりません。

5-3.ヒアルロン酸注射は効果的か?

下がった歯茎を、ヒアルロン酸注射で改善する方法があります。ヒアルロン酸は、美容皮膚科で応用されている安全性の高い成分です。歯茎の改善にも効果を発揮し、痛みはなく、短時間で施術が終わります。しかし、歯茎の炎症が起きている人には使用できず、事前に歯周治療を施さなければなりません。また、歯茎が戻るまで3週間~数か月かかる可能性があります。

5-4.どんな歯ブラシを使うべきか?

歯茎の後退を予防するためには、歯ブラシの選び方も重要です。基本的に、歯ブラシは自分にとって使いやすいもの・痛みや違和感のないものを選んでください。歯茎に過剰な刺激を与えないために、やわらかい毛先の歯ブラシを選ぶと良いでしょう。また、小さなヘッドが持ちやすく、ほど良い力で磨くことができます。歯ブラシが傷んでくると、磨いている歯も傷んでしまう恐れがあるため、歯ブラシは1~2か月に1回新しいものに交換してくださいね。

5-5.歯医者の定期検診は受けるべきか?

下がる歯茎や虫歯・歯周病を予防するためには、歯医者の定期検診が大切です。3か月~6か月に1回の定期検診により、口腔内の細菌を取りのぞくことができます。予防歯科を徹底することで、健康的な口腔内を維持し続けることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 下がった歯茎は、自然に治るものではありません。きちんと正しいブラッシングをして、歯医者での治療を受けることで、もとに戻すことができます。歯茎の後退は、誤ったブラッシングや加齢・歯並び・歯周病などが原因です。歯医者できちんと原因を突き止めてから、適切な方法で治療を受けましょう。また、歯茎の治療中でも、ホームケアを続けることが大切です。何よりも、健康的な歯茎を維持し続けるためには、予防が重要となります。歯医者で定期検診を受けながら、自宅でのケアも行ってください。