テレビなどでたびたび放送されるデンタルフロスのCM。本当に効果があるのか、そもそもどのような効果があるのか気になっている方も多いことでしょう。
社会生活において、歯の健康は大切です。健康が乱れていると、口臭などで立場が悪くなることもあり得るでしょう。また、虫歯になれば、痛みで仕事などにも支障をきたします。できることなら、歯の健康は整えておきたいところですよね。
そこで、今回はデンタルフロスの効果について中心にご紹介していきたいと思います。
目次
1.デンタルフロスって何?
普段、毎日行う歯ブラシ。丁寧に10分以上かけて磨く人も少なくありません。また、ただの歯ブラシではなく、電動ブラシなどを使ってブラッシングする人もいるでしょう。
しかし、実は歯ブラシや電動ブラシだけでは、いくら丁寧に洗っても完璧に磨ききることはできません。特に歯と歯の間、いわゆる歯間という部分には多くの歯垢(しこう)……つまり、プラークがこびりついたままなのです。
プラークには、たった1ミリグラムの中に約『10億』もの細菌が潜んでいるといわれています。これだけの細菌が残っていれば、当然虫歯になりやすくなるでしょう。事実、虫歯が発生する場所の90%はこの歯間であるといわれています。ですから、歯間はしっかりと掃除する必要があるのです。ですが、すでにお話ししたとおり、プラークは歯ブラシではなかなかとりきることができません。
そこで考えられたのが、『デンタルフロス』。デンタルフロスとは、一言でいえば『糸式ようじ』のことです。
歯ブラシだけの使用では、プラークは6割しか除去できません。しかし、歯ブラシと共にデンタルフロスを使うことで、プラーク除去率は『8割』に上昇するというデータがあります。朝と夜の2回、歯ブラシとデンタルフロスを使えば、かなりの場所をカバーできるでしょう。
2.デンタルフロスと歯間ブラシの違いとは?
デンタルフロスのように歯間を掃除する道具といえば、有名なものに『歯間ブラシ』というものも存在します。デンタルフロスと歯間ブラシはどのような違いがあるのでしょうか?
2-1.形状と目的が違う
デンタルフロスは1本の細い糸です。一方の歯間ブラシはドリルの先端部分にブラシが取り付けられたような形状をしています。
また、目的に関してですが、デンタルフロスは『歯と歯の間のプラークを除去する』ことが目的。一方の歯間ブラシは『歯と歯肉の間のプラークを除去する』ことが目的です。
2-2.歯周病予防には歯間ブラシの方が効果的
デンタルフロスが1本の糸であるのに対し、歯間ブラシは小さな毛束が取り付けられています。そのため、歯間に通した際のプラークを除去する能力は歯間ブラシの方がやや高いそうです。さらに、歯間ブラシは歯肉部分をしっかりと掃除できるので歯周病を予防する効果が高いといわれています。
ただし、欠点としては歯間ブラシに比べて太いので、歯間が狭い箇所をしっかり除去できないことが挙げられるでしょう。
2-3.虫歯予防にはデンタルフロスが効果的
デンタルフロスの特徴は、なんといっても細い糸状であることが挙げられます。糸状なので、どんなに細い歯間でもしっかりと入り込むことができるのです。虫歯の発生しやすい歯間を隅々までキレイにできますから、虫歯の予防としては最適といえます。
ただし、歯間ブラシのように歯肉をキレイにするのには向いていません。歯周病を予防するためには歯ブラシで歯茎の間を丁寧に掃除するか、歯間ブラシを併用する必要があるでしょう。
3.デンタルフロスの隠された能力とは?
デンタルフロスは虫歯の予防だけではなく、いくつかの隠された能力があります。ぜひ、覚えておいてくださいね。
3-1.口臭予防になる
デンタルフロスの隠された能力で第1に上がるのは、やはり口臭を軽減する能力でしょう。口臭の原因は大きく分けて3つあります。
- 膿栓(のうせん)が扁桃腺(へんとうせん)に大量にたまっている
- プラークが臭いを発している
- 胃が荒れている
口臭の原因として1番強いのは膿栓(のうせん)ですが、食生活によってはプラークの方が臭いの原因となっていることも少なくありません。
ですから、プラークをできるだけ除去することによって口臭を軽減することができるのです。
3-2.虫歯の初期症状や詰め物の不具合を発見できる
虫歯の初期症状や詰め物の不具合を発見できるという能力もあります。歯間を掃除しているときに以下のような違和感があれば、何かしらの異常が発生していることが考えられるでしょう。
- 歯間をこすると引っかかりを感じる
- ほかの歯間に比べて妙にザラザラとしている
- 出し入れのときに糸がばらけてしまう
以上の違和感があれば、なるべく早いうちには歯科医院へ行くようにしてくださいね。
3-3.歯周病のセルフチェックができる
歯ブラシでもそうですが、歯周病にかかっていると歯茎から血が出ることがあります。デンタルフロスは糸ですので、血が出ると色が付きやすい道具です。歯ブラシなどでは分かりづらかった微量な出血でも、デンタルフロスなら気が付くことができるでしょう。
4.デンタルフロスの正しい使い方
手順その1.糸を輪っかにする
市販のデンタルフロスは柄が付いたものが多いのですが、費用対効果を考えると糸だけの状態で使った方が良いといわれています。
ただし、柄が付いていないただの糸ではピンと伸ばしても滑ってたるんでしまい、上手に歯を磨くことができません。そこで、糸を輪っかにし、輪の中に指を入れて四方に伸ばして使いましょう。こうすることで、ピンと張れて滑ることもなくなります。
手順その2.糸を歯間に挿入しよう
歯間に糸を挿入する際はゆっくりと入れるようにしてください。強引に入れると、歯周ポケットに汚れが入ったり歯茎が傷ついたりする原因となります。前後にスライドしながらゆっくりと入れましょう。
手順その3.歯を掃除しよう
最後に歯を掃除する方法ですが、実は効果を高める磨き方というものがあります。ぜひ、覚えておいてくださいね。
糸を『くの字』に曲げ、前後にこすって磨きながら徐々に糸を上に抜いていきましょう。くの字に曲げることによって、磨き残しが少なくなります。くの字を反対にして逆側の歯も磨き上げれば終了です。これをすべての歯間で行うようにすれば、プラークはほとんど残らないでしょう。
手順その4.抜けないときは糸を切ろう
たまに、歯のすき間が狭すぎて抜けなかったり、抜こうとすると痛みが走ったりする場合があります。この状態で無理に抜こうとすると傷を付ける原因となりますので、糸をハサミなどで切ってから抜くようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回はデンタルフロスにまつわる情報を中心にご紹介しました。
- デンタルフロスって何?
- デンタルフロスと歯間ブラシの違いとは?
- デンタルフロスの隠された能力とは?
虫歯や歯周病は早期に治療することが非常に重要です。発見が遅れれば歯だけではなく、アゴの骨にも悪影響を及ぼしかねません。アゴの骨まで虫歯が進行してしまえば、骨が腐ってしまうこともあります。
ですから、虫歯にならないように、そして虫歯を早期発見できるようにデンタルフロスを行っていきましょう。