虫歯予防に効果があるキシリトールは、どのように日常生活に取り入れたらよいのでしょう。きちんと歯磨きしているのに虫歯になりやすい!とお悩みの方に向けて、毎日のデンタルケアにプラスしたい「キシリトールケア」をご紹介しましょう。
目次
1.そもそもキシリトールとは?
デンタルケアの意識が高まってきた昨今、「キシリトール」という言葉は誰でも聞いたことがあるでしょう。
テレビのコマーシャルでよく目にするキシリトールは、ガムに使われている成分?…という認識はあっても、詳しくはよく知らないという人もいるようです。
そこで、そもそもキシリトールとは何なのかということをご紹介したいと思います。
1-1.キシリトールとはどのような成分?
キシリトールとは、「糖アルコール」という甘味炭水化物の仲間です。
白かばや、かしなどの広葉樹・果物のベリー類・カリフラワーなど、自然界の植物などに多く含まれています。
また、キシリトールは、人間の肝臓でも1日約15gが作られているのです。
キシリトールは、糖アルコールの中でも最も甘く、砂糖と同じほどの甘みを持つのに砂糖の75%ほどのカロリーしかありません。
ガムやタブレットに配合されているキシリトールは、主に白樺などの樹木から抽出される「キシランヘミセルロース」を原料にして作られます。
キシリトールは、日本では1997年4月に食品添加物として許可されました。
また、FAO(世界食糧農業機関)・WHO(世界保健機関)の合同規格委員会より、「1日に摂取量を制限しなくても大丈夫な食品添加物」と認定されているのです。
さらに、キシリトールは、インシュリンに悪影響を及ぼさないという特徴があります。
そのため、糖分摂取コントロールが必要な糖尿病患者用の輸液にも、糖質として用いられているのです。
1-2.キシリトールの特徴
キシリトールは、砂糖と同じ甘さで、溶けるときに熱を奪うという特徴を持っています。
口に入れるとヒンヤリとした感覚があるために、ミント味と合わせ、キャンディやガム、タブレットなどのお菓子に多く使用されているのです。
また、果物の味を引き立てたり、苦みを消したりする効果も持っています。
さらに、涼感を生かして、基礎化粧品・歯磨き粉・衣類・夏のペットウェア・寝具など、さまざまな分野で活躍しているのです。
2.キシリトールの虫歯予防効果
キシリトールは、さまざまな分野で活躍している成分です。
しかしながら、一番その力を発揮しているのは、やはりデンタルケアの分野でしょう。
キシリトールは砂糖と同じ甘さを持っているのに、なぜ、虫歯予防に有効なのか?についてご紹介します。
2-1.虫歯の原因にならない
砂糖と同じ甘さを持つ甘味料というと、なんとなく歯によくないイメージがあります。
しかし、キシリトールなどの糖アルコールは、虫歯の原因にはなりません。
虫歯は「糖質」をもとに作り出した酸が歯を溶かしてしまうことで生じます。
ところが、キシリトールのような糖アルコールからは、歯を溶かすほどの酸が作られないのです。
ただし、ソルビトールやマルチトールなどの糖アルコールは、少量の酸は作ってしまいます。
しかしながら、キシリトールは全く酸を作らないのです。
また、通常は、だ液が口の中の酸を中性に近づけ虫歯になることを防ぎます。
キシリトールは、甘みが強くだ液が多く出ることもメリットなのです。
2-2.虫歯を防ぐ
キシリトールの特徴は、「甘味料なのに虫歯の原因になる酸を作らない」というだけではありません。
ほかの糖アルコールにはない、「虫歯の発生や進行も防ぐ効果」も持っているのです。
キシリトールのガムやタブレットなどを、1日3回、3か月以上継続して摂取すると歯垢が付きづらくはがれやすくなります。
また、歯の再石灰化を促進するので歯そのものが強くなるのです。
そして、ミュータンス菌という虫歯の原因となる菌の活動を弱めることもできます。
長期的な臨床研究の結果、キシリトールは虫歯予防に優れているという結果が証明されているほどなのです。
3.キシリトール製品の選び方
キシリトールを配合した製品はさまざまな種類があるので、どれを使っていいのか迷ってしまいます。
キシリトールで虫歯の予防効果を得たいのであれば、だ液分泌効果が高いガムかタブレットが一番でしょう。
ただし、効果を得るには以下のことに注意して選んでください。
3-1.含有量に注意する
キシリトール製品を選ぶときには、含有量に注意してください。
虫歯を予防する優れた成分だといっても、製品の含有量が少なくては思ったような効果を得られません。
コンビニなどで販売されているガムやタブレットは、キシリトール含有量30〜70%がほとんどです。
目安としては、栄養成分表示を見てキシリトール50%以上の製品を選んでください。
また、歯科専売品なら、キシリトール100%含有の製品を入手できます。
3-2.ほかの甘味料が含有されていないかチェック!
シュガーレス製品であることも大切なポイントです。
キシリトールが含有されていても、ほかに砂糖などが含まれていては効果は得られないでしょう。
もし、「糖質」が含まれていても「糖類」が「0g」であれば大丈夫です。
4.キシリトールの上手な使い方
虫歯予防のためには欠くことができないキシリトールですが、なんとなく食べているだけでは効果を発揮できません。
キシリトールの効果を、最大限に生かせる食べ方をご紹介しましょう。
4-1.高濃度キシリトールを継続的に使用する
キシリトールを50%以上含むガムやタブレットは、気が向いたときに食べるだけではなく、定期的に継続してください。
1日3回、毎日3か月以上忘れずに継続するようにしましょう。
4-2.歯を磨いてから摂取する
食事後、口の中に食べ物のカスがたくさん残っている状態でキシリトールを食べても意味がありません。
まず、歯磨きで歯や口の中を清潔な状態にしてから食べてください。
4-3.口の中に長くとどめる
キシリトールは飲料やケーキなどにも含まれていますが、虫歯予防の効果は期待できません。
キシリトールをできるだけ長く口の中にとどめておくことがポイントなのです。
ガムやタブレットを口に含むとだ液が出てきます。
だ液をすぐ飲み込まないで、口の中全体に行き渡るように意識してください。
4-4.定期的に歯科医院での検診を
キシリトールは虫歯予防に効果はありますが、キシリトールを摂取していれば完全に虫歯を予防できるというわけでもありません。
歯そのものを清潔に保つことが基本です。
- 毎日の歯磨きを欠かさない。
- 歯間ブラシやデンタルフロスなどで歯ブラシが届かない部分の掃除をする。
- 定期的に歯科医院に通って、歯のお手入れがちゃんとできているかなどをチェックしてもらう。
上記のようなケアも同時に行うことで、キシリトールの効果を発揮できるのです。
昔は、歯医者さんは「歯が痛くなってからかけ込む」というイメージがありました。
しかし、現代では普段のデンタルケアがきちんとできているか、トラブルは起こっていないかを事前にチェックしてもらう…という意識に変化しています。
普段の自分で行うケアと、プロのケアのダブルできれいな歯を保ちましょう!
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
虫歯のないきれいな歯は、誰でもあこがれです。
歯磨きだけで虫歯は予防できるの?…と迷っている方、きちんと歯磨きしているけど虫歯ができやすいとお悩みの方は少なくありません。
そこで、虫歯予防でお悩みの方に向け、キシリトールの虫歯予防効果をまとめてみました。
- そもそもキシリトールとは?
- なぜ、キシリトールは虫歯予防ができるの?
- キシリトール製品の選び方
- キシリトールの上手な使い方
キシリトールは含有量の多いガムやタブレットを選び、上手に摂取すれば虫歯予防に効果を発揮します。
日々自分でできるデンタルケアと、歯科医院での歯の定期検診を合わせて、虫歯や歯のトラブルとさよならしてください!