虫歯ができると歯肉炎や口臭の原因になりかねません。とはいえ、毎日歯みがきをしていても虫歯ができやすい人もいます。自分の歯を長く維持(いじ)するためにも、どうしても虫歯は避けたいものです。いったい虫歯になりやすい人となりにくい人にはどのような違いがあるのでしょうか。そこで、虫歯になりやすい人となりにくい人のそれぞれの共通点を徹底検証してみました。
1.虫歯になりやすい人の共通点
1-1.口の中の環境が原因
虫歯になりやすいのは歯のメンテナンスができていないからでしょうか。必ずしもそうとは限りません。もともと口の中の環境が虫歯になりやすい状態の人もいるのです。たとえば、だ液の量が少ないと口の中の酸を流し去ることができず、口に残った酸が歯のエナメル質を溶かします。だ液が粘りの強い性質である場合も同様です。エナメル質により溶けた歯は弱くなり、虫歯になりやすくなります。また、歯のかみ合わせが悪いことも虫歯になりやすい原因です。一部の歯に負担がかかり、エナメル質がひび割れます。結果として、エナメル質の部分が弱くなり、虫歯になりやすくなるのです。
1-2.マウスウォッシュの選び方に問題がある
マウスウォッシュは、口臭予防や口の環境を整えるために用います。しかし、マウスウォッシュの選択を間違えると逆効果になるので中止してください。マウスウォッシュが強い酸性であれば、その酸が歯のエナメル質を溶かすのです。また、口の中の環境を悪化させるマウスウォッシュもあります。口の中の常在菌(じょうざいきん)という悪くない菌まで殺してしまうのです。このようにマウスウォッシュの選択を間違うと、口の環境が虫歯になりやすくなります。虫歯が増えると口臭の問題も同時に抱えるため、マウスウォッシュの選び方を間違えると全くの逆効果になることも覚えておきましょう。
1-3.歯のみがき方に問題がある
歯みがきは虫歯にならないためには大切です。しかし、虫歯になりやすい場所をきちんとみがかなければ意味はありません。虫歯を引き起こすのはミュータント菌ですが、この菌は糖分を多く含んだものを食べたあとに増えやすくなります。ですから、定期的に歯をみがくことも大切ですが、いつ歯をみがくのかがもっと重要なのです。
2.虫歯になりにくい人の共通点
2-1.口のよい環境を整えている
それほど普段から気にしているわけではないのに、虫歯になりにくい人もいます。そのような人の共通点のひとつは、もともとだ液の粘りが少ないという点です。だ液の粘りが少ないとと、だ液が酸を洗い流すため歯を強くたもてます。また、虫歯になりにくい人は意識して口の乾燥を避けているケースもあるでしょう。口を開けて寝ないなら、だ液が口の中をきれいできる環境を整えることができます。また、歯の矯正をしている人も虫歯になりにくいでしょう。歯のかみ合わせが悪いなら虫歯の発生を促進(そくしん)しやすいからです。
2-2.歯のみがき方がよい
虫歯になりにくい人は、歯の正しいみがき方を知っています。歯みがきの回数が必ずしも多いというわけではありません。ただ力まかせに何度もみがくのではなく、虫歯になりやすい場所をきちんとみがいているのです。また、歯のエナメル質を弱くするようなマウスウォッシュは使わず、中性のものを選んでいることも虫歯になりにくい人の共通点でしょう。
2-3.間食が少ない
糖分をえさに増えるミュータント菌が虫歯をつくる原因です。ですから、食後に歯みがきをしても、間食が多いならミュータント菌が口の中で増えて虫歯になりやすくなります。ですから、虫歯になりにくい人は間食をあまりしません。多少お菓子などを食べたとしても、すぐに歯みがきをします。そのようにして、ミュータント菌が口の中に増えないように気をつけるのです。
3.虫歯になりにくい人になるための方法
3-1.歯みがきをするべきタイミングを覚えよう
虫歯になりやすい人となりにくい人の違いは、ほとんどのケースが意識して行うことによって生まれるものです。たとえば、歯みがきは何かを食べたならすぐに行うという習慣を身につけましょう。ただし、ワインを飲んだあとの歯みがきのタイミングには気をつけてください。ワインの酸は歯のエナメル質を溶かすため、歯みがきがエナメル質をけずりとってしまうからです。また、間食をしたあとの歯みがきを忘れてはいけません。朝起きたときにすぐ行う歯みがきも大切です。寝ているあいだに、口の中には雑菌が増えるのですぐに歯みがきをするようにしましょう。同じ理由で、夜寝る前の歯みがきはとりわけていねいにしてください。
3-2.歯のみがき方を見なおそう
歯みがきの方法と歯みがきの道具を見なおしましょう。まず、虫歯になりやすい場所を知ることが大切です。虫歯になりやすい場所は、歯と歯のあいだ、奥歯や前歯の裏、歯のみぞなどがあるでしょう。そのような虫歯になりやすい場所は、とりわけていねいにみがいてください。また、歯みがきの道具が歯ブラシだけではいけません。デンタルフロスや歯間(しかん)ブラシなども使ってください。歯ブラシでかきだすだけではとれない汚れもあるのです。歯のエナメル質を強めるために、フッ素入りの歯みがき粉を使うこともよいでしょう。
3-3.定期的なメンテナンスを行おう
虫歯にならないように気をつけていても、どうしても虫歯になってしまうことはあるものです。しかし、虫歯は早期発見できれば、対処方法も簡単にすみます。ですから、どうぞ信頼のおける歯科で定期的なメンテナンスを行うようにしてください。歯の生えかたによって人それぞれ虫歯になりやすい場所があるものです。歯が弱くなっているかどうかを定期的に見てもらうことにより、普段から注意して歯をみがくべき場所もわかるでしょう。歯科で歯みがきのよい方法についての指導をうけてください。また、歯科でおすすめる歯ブラシや歯みがき粉を教えてもらうことも役立つはずです。
まとめ
遺伝で口の環境が虫歯になりやすい人もいれば、もともと虫歯になりにくい人がいることも事実です。しかし、ほとんどの場合は意識した努力で虫歯になりにくい人になることができます。そのためにも、
- 口の中に酸が残らないようにする
- マウスウォッシュの選び方には気をつける
- 虫歯になりやすい場所を知っておく
- 間食は少なめにして、食べたときにはすぐに歯みがきをする
などを心がけていきましょう。
歯科で歯の定期的なメンテナンスを行うことは大切です。自分の歯の状態を知るためにも、信頼のおける歯科で相談することをおすすめします。