口の中が渇いて不快感がある…という悩みを抱える方が増えているのをご存じでしょうか?慢性的に口の中が渇く症状を、ドライマウス症候群と呼んでいます。日本全国で約800万人がドライマウスになっているそうなので、日本人の16〜17人に1人がドライマウスという計算です。
ただ、口が渇くだけだから…と油断してはいけません。ドライマウス症候群の裏側に大きな病気が隠れていることもあるからです。そこで、こちらではドライマウスを引き起こす原因、ドライマウスを引き起こす病気の種類を解説することにしました。
口が渇く…という悩みを持っているなら、まずはこちらのページで情報収集をしてみてください。
1.口が渇く一般的な原因とは?
まずは、ほかの病気に由来しない“ドライマウスの一般的原因”をチェックすることにしましょう。実際、多くの場合は深刻な病気ではなく、一時的な体調変化に起因します。まずは、慌てずに“生活習慣の改善で対処できないか”を検討するほうが賢明です。
1-1.きちんと噛(か)まずに食事をしていませんか?
噛(か)む回数があまりにも少なかったり、飲み物で流し込むような食べ方をしていたりする場合は要注意。口が渇く原因になります。唾液腺は口の筋肉が動くことで刺激され、唾液を分泌する性質があるからです。
きちんと噛(か)まずに食べていると、唾液腺が刺激されず、だんだんと唾液の分泌量が減っていきます。柔らかい食材ばかりでは自然と噛(か)む習慣がなくなっていくので、歯ごたえのある固いものをよく噛(か)んで食べるようにしてください。食事内容をすぐに変えるのが難しい方は、せめてガムを噛(か)むなどして口の筋肉を動かすようにしましょう。
1-2.眠るときに口呼吸をする癖がありませんか?
眠っているとき、口呼吸が主体になっていたり、口が開きっぱなしになっていたりしていませんか?起床直後に口が渇く…と感じているなら、睡眠中に口内が乾燥している可能性が高いです。
ただ、起きてから時間が経(た)てば気にならなくなる…という場合、それほど心配はいりません。寝ている間に体内の水分が失われるのは一般的な減少であり、誰でも多少は口内の乾燥を感じるはずです。
あまりに口の中に不快感があるようなら、湿ったマスクを着用して眠るなどの対処法がおすすめ。また、起きてから時間が経(た)っても口が渇くという場合、普段から口呼吸が主体になっている可能性があります。意識して鼻呼吸に切り替えられないか、試してみてください。
1-3.緊張・ストレスが要因のドライマウスではありませんか?
自律神経というのは、交感神経と副交感神経の総称です。人間は緊張状態にあるときに交感神経、リラックスしているときに副交感神経が優位になります。実のところ、自律神経は唾液の分泌量と深い関係があるのです。
唾液腺は交感神経優位の状態で唾液の分泌量が減り、副交感神経優位のときに唾液の分泌量が増加します。そのため、緊張しているとき、ストレスを受けているときには唾液が減少し、口が渇くのです。
もちろん、緊張時に唾液が減るのは普通の反応なので、一時的な症状であれば気にする必要はありません。ストレスを受けた日の夜には長めの入浴で身体を温めたり、趣味に没頭する時間を作ったりしましょう。心身ともにリラックスすることが、緊張を和らげるために必要です。自然と口の渇きも気にならなくなるでしょう。
2.要注意!病気が原因のドライマウスとは?
もし、一般的な原因に当てはまらないのに口が渇くなら、少し注意したするべきです。もしかすると、ドライマウス症候群の裏側に、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。
2-1.医薬品の副作用ではありませんか?
花粉症に用いる抗アレルギー薬、高血圧の薬、さらには精神疾患の薬を服用しているなら、副作用を疑ってください。もし、医薬品の服用を開始して以降にドライマウスの症状が出たなら、医薬品の副作用である可能性が高いです。
この場合は主治医に事情を説明し、薬を変更するか、あるいは副作用を抑える何らかの方法を採るか相談すると良いでしょう。
2-2.放射線治療を受けたことはありませんか?
過去に悪性腫瘍などで放射線治療を受けたことがある場合は要注意。放射線治療がドライマウスの原因になることがあります。頭部・首の周辺に放射線治療をすると、放射線によって唾液腺が破壊されることがあるのです。
この場合も、医療機関に相談する必要があるでしょう。唾液腺を再生することは困難なので、人工唾液などを用いて対症療法的によるケアを行います。
2-3.何らかの全身疾患がありませんか?
糖尿病、腎不全そして自己免疫疾患のシェーングレン症候群などに罹患(りかん)していると、その症状として口が渇くことがあります。口内の乾燥以外に何か思い当たる症状がある場合は、早めに医療機関を受診したほうが良いでしょう。
原因疾患が見つかれば、原因となっている病気を治療することが先決。その上で、必要に応じて人工唾液などを用いた対症療法を行うことになります。いずれにせよ、原因となる病気の治療を早急に開始するべきでしょう。
3.ドライマウスが引き起こす問題とは?
口が渇くだけだから…とドライマウスを放置してはいけません。唾液には口内の雑菌が繁殖しないよう抑える…という重要な作用を持っています。唾液が不足したままでは、口内の雑菌がどんどん増えてしまい、口腔(こうくう)内にさまざまな問題を引き起こす恐れがあるのです。
虫歯菌・歯周病菌が増殖することで虫歯になる確率が上がるのに加え、歯を失う最大要因の歯周病に罹患(りかん)しやすくなります。また、口の粘膜は唾液が潤滑剤になることで保護されていますが、唾液不足では食べ物・歯に接触した際のダメージを受けやすくなり、口内炎が多発する恐れも…。もちろん、口内の雑菌が増えるわけですから、口臭が悪化するなどの問題も考えられます。
「単に口の中が渇くだけ…」と甘く見ず、早めに対処することがオーラルケアの基本なのです。
まとめ
以上、口が渇く症状の原因&対策方法でした!
- 口が渇く一般的な原因とは?
- 要注意!病気が原因のドライマウスとは?
- ドライマウスが引き起こす問題とは?
歯科衛生を考える上でも、ほかの病気が隠れていないが確認する上でも、些細(ささい)な症状をしっかりとチェックすることは非常に大切です。口が渇く…と感じたら、まずは自分なりに原因究明をするようにしてください!