歯の神経に痛みが出る原因にはさまざまなものが考えられます。原因に合った対処法を知るためにも、まずは歯医者を受診することが必要です。もし、すぐに受診できない状況であれば、自分でできる応急処置の方法を知っておくと安心でしょう。神経の痛みはひどくなると生活に支障をきたします。早めに対処できるように、歯の神経の痛みについていろいろと把握しておいてください。
この記事を読むことで、歯の神経に痛みが出たときの原因や対処法・治療法などが分かるはずです。ぜひ参考にしてください。
1.歯の神経とは?
まずは、神経の場所や働きなどについて解説します。
1-1.どこにあるのか?
歯の神経は正確には「歯髄」といいます。歯の一番外側が「エナメル質」、その下にあるのが「象牙質」であり、さらに下にあるのが「歯髄」です。一般的に「歯の神経を抜く」という治療の場合、この歯髄部分をすべて取り除くことになります。
1-2.働きや重要性について
歯の神経にはまず、痛みを伝えるという働きがあります。虫歯ができて冷たいものがしみるとき、その感覚を脳に伝えているのは歯の神経です。そのため、神経を抜くとしみたり痛んだりするのを感じなくなります。そのほかにも、神経は虫歯の進行を防ぎ、歯が何らかの損傷を受けた際に防御しようとする役割などがあるのです。
2.歯の神経の痛みとは?
歯の神経はどのように痛むのか、その原因にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
2-1.症状
歯の神経が痛んでいる場合、以下のように症状がすすんでいくのが一般的です。
- 冷たいものがしみるようになる
- 温かいものもしみるようになる
- 何もしなくてもズキズキと痛む
- 激しい痛みのあとは、痛みがなくなる
- 噛(か)むと痛みが出るようになる
激しい痛みのあとに痛みがなくなるのは、神経がえ死するためです。痛みがなくなったからといって放置しておくと、え死した神経が腐って噛(か)んだときに痛みが出るようになってしまいます。
2-2.痛みの原因
神経が痛む原因として考えられるものをまとめました。
2-2-1.進行した虫歯
痛みの原因として最も多いのが、虫歯でしょう。虫歯が歯髄まで進行してしまった場合、常に激痛が伴います。虫歯の部分を取り除く治療が必要になるため、できるだけ早く受診してください。すぐ歯医者に行けないようなときは、応急処置として市販の痛み止めを飲みましょう。
2-2-2.歯周病
歯周病も歯の神経が痛む原因として多いでしょう。ただし、歯周病は症状が出ないまま進行していくことがほとんどのため、痛みを感じたころにはすでに症状がすすんでいる可能性があります。歯磨きでしっかりと歯垢を取り除きながら進行を食い止め、早めに歯医者での治療を開始してください。重度の歯周病だと、麻酔をして歯茎を切開し、歯の根についた歯垢を取り除く手術が必要になります。
2-2-3.根尖病巣(こんせんびょうそう)
虫歯を放置したり根の治療に失敗したりすると、「根尖病巣(こんせんびょうそう)」という膿(うみ)の袋が歯の根にできます。自覚症状がなく進行する場合が多いため、神経の痛みや歯茎の腫れなどの症状が現れたときは注意が必要です。
2-2-4.歯髄炎
歯髄に炎症が起きている状態を「歯髄炎」といいます。何もしていなくても常に痛みを感じるのが特徴です。痛みのほかにも違和感や不快感が現れることも多く、歯髄を取り除いて洗浄・消毒をするなどの治療が必要になります。
3.応急処置について
痛みがある場合の応急処置についてまとめました。
3-1.応急処置
神経に痛みがあってもすぐ歯医者を受診できない場合は、以下のような方法で応急処置をしてください。
- 市販の鎮痛剤を飲む
- ぬれタオルや冷却シートで患部を冷やす
- デンタルフロスなどを使って歯をきれいにする
- 固いものや冷たいものなどの飲食を避けて安静に過ごす
3-2.注意点
鎮痛剤を飲むと痛みは和らぎます。しかし、あくまでも一時的に痛みを麻痺(まひ)させているだけであり、痛みの原因が改善されたわけではないのです。鎮痛剤を飲んで痛みがなくなったとしても、必ず歯医者を受診してください。
4.神経を抜いたあとに痛む場合
歯の神経を抜いたあと痛みが出る場合もあります。その理由は何でしょうか。
4-1.神経を抜く治療とは?
神経を抜く治療が必要なのは、虫歯が歯髄まで達している場合や、知覚過敏の場合などです。神経を抜く治療法のことを「抜髄(ばつずい)」といい、歯髄を取り除いで洗浄や消毒をする根管治療を行うことになります。痛みが治まってから根の中に薬剤を詰めて被せものをするという流れです。
4-2.神経を抜いても痛む理由
「神経を抜いたはずなのになぜ痛むのか?」と思うことがあるでしょう。治療の刺激によって一時的に痛む場合もあります。しかし、痛みが持続する場合は注意が必要です。歯の根には神経の入り口が複数あり、すべてを取り除くことはできません。そのため、悪い部分の神経を抜いても、残っている神経が炎症を起こすなどして痛みが発生する場合があるのです。
4-3.症状と原因
残った神経が炎症を起こすと、痛みが長く続くことがあります。そのほかにも、根の周りにある骨の神経に炎症が残った場合なども、痛みが発生することがあるのです。何もしてなくても痛みが続き、場合によっては腫れることもあるでしょう。
5.治療方法
歯の神経が痛む際の治療方法や歯医者の選び方などをご紹介します。
5-1.治療方法
歯の神経が痛む場合の治療法は、原因によって異なります。神経を抜いた場合は、根管治療が行われるのが一般的です。神経が通っていた管をきれいに洗浄・消毒する治療法であり、根管がきれいになったら薬剤を詰め、上から詰めをします。感染が広がっている場合などは、複数回の通院が必要になるでしょう。
5-2.歯医者の選び方
自分に合った歯医者を選ぶためには、以下のポイントを参考にしてください。
- 実績が豊富であるか
- 治療や料金に関する丁寧な説明をしてくれるか
- 治療に一定の時間をかけてくれるか
- 受付や歯科衛生士の対応は丁寧か
- 院内は清潔であるか
5-3.注意点
歯医者選びの失敗として多いのが、家からの近さだけで選んでしまうことです。その歯医者の評判も知らず、ホームページも見たことがない状態で決めてしまうのは危険でしょう。どのような設備がそろっていて、どのような分野を得意としているのかなどもしっかりチェックしてから歯医者選びをしてください。
6.歯の神経の痛みに関するよくある質問
「歯の神経が痛い」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。
Q.歯の神経が痛むときに正露丸を詰めるとよいというのは本当でしょうか?
A.応急処置の方法としては有効です。正露丸に含まれる「木(もく)クレオソート」に、痛みを和らげる作用があるといわれています。
Q.歯の神経が痛いときにやってはいけないこととは何ですか?
A.飲酒や喫煙は控えてください。血液の流れがよくなり、神経過敏になって強い痛みが出てしまいます。
Q.痛みが出たり消えたりする場合、原因として考えられるのは何でしょうか?
A.疲労などによって抵抗力が低下しているときなどに、一時的に痛みが出ることがあります。休息をとると痛みが治まるようであれば、少し様子を見てもよいでしょう。
Q.妊娠中で市販の鎮痛剤を飲めない場合はどうしたらよいですか?
A.市販の鎮痛剤は使用できないため、妊娠中でも服用できる痛み止めを歯医者で処方してもらうとよいでしょう。
Q.歯の神経を抜かないためにできる予防法にはどのようなものがありますか?
A.デンタルフロスや歯間歯ブラシを取り入れるなど、普段の歯磨きを見直しましょう。また、半年に1回は定期検診を受けることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか? 歯の神経が痛む原因や対処法・治療法などをまとめてご紹介しました。歯の神経が痛む場合には、原因に合った適切な治療が必要です。「痛みが続いている」「強い痛みがあって日常生活に支障をきたしている」という場合は、できるだけ早く歯医者を受診しましょう。ぜひこの記事を参考にして、痛みから解放されてください。