歯周病と口臭は関係していた! 口臭の原因と歯周病治療のポイントは?

「口臭がひどくなった」「歯周病とどう向き合えばいいのかわからない」など、悩んでいる方は多いことでしょう。歯周病と口臭は密接に関係しています。口臭がひどくなる原因はさまざまですが、中でも歯周病による口臭は臭いがとてもひどいものです。歯周病が改善できれば、口臭も自然と気にならなくなります。また、体の健康にも影響をおよぼすため、口の中の環境を改善していかなければなりません。

そこで本記事では、歯周病とは何なのか、セルフチェック法や口臭との関係性・治療法・予防法など詳しく説明します。

  1. 歯周病とは
  2. 歯周病のセルフチェック
  3. 歯周病と口臭について
  4. 歯周病の治療法
  5. 歯周病と口臭予防
  6. 歯周病と口臭にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、歯周病と口臭の関係について知ることができ、歯周病を治すためのポイントがわかります。歯周病を治したい方や口臭を何とかしたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.歯周病とは

歯周病を治すには、どのような病気なのか基礎知識を習得することが大切です。主な症状や原因など詳しく見ていきましょう。

1-1.どんな病気か

細菌感染によって起こる炎症性疾患のことを歯周病といいます。つまり、歯茎が赤く腫れあがる炎症です。厚生労働省の調査によると、歯周病は30歳~64歳までの成人のおよそ8割が歯周病にかかっていることがわかっています。しかし、近年では小学生や中学生の歯周病も多く、若年者でも多く見られる国民病です。

1-2.主な症状と痛みについて

歯周病の主な症状は、歯茎の腫れです。普段の歯茎はピンク色ですが、歯周病になると赤く腫れあがります。歯磨きをすると出血することもあるでしょう。そして、歯周病の症状が現れると同時にひどい口臭が発生します。口臭はなかなか自分で気づかないものです。そのため、ほとんどの場合、人から指摘されて気づきます。初期症状に痛みはありませんが、歯周病が進行すると痛みも出てくるでしょう。

1-3.原因とメカニズム

歯周病の原因は多種多様です。細菌性プラークと呼ばれる歯垢(しこう)の細菌感染症が主な原因として挙げられます。私たちの口の中には、およそ500~600種類ものの細菌が存在しており、その中のおよそ20種類が歯周病のもとになる細菌です。歯垢(しこう)の付着を取りのぞかなければ硬くなり、歯石(しせき)に変化します。歯石(しせき)になるとブラッシングをしても簡単に取りのぞくことができません。結果、さらに歯石(しせき)のまわりに細菌が入り込み、歯周病が悪化します。

1-4.放置するとどうなるか

歯周病を放置すると、自分の歯を失う可能性が高くなります。歯を固定している歯茎がもろくなり、ぐらぐらし始めるでしょう。少しずつ歯並びやかみ合わせが悪くなり、最終的に歯が抜け落ちてしまうこともあります。口臭もひどくなるため、歯周病は早めの処置が大切です。また、歯周病の症状がさらにすすむと、重度の歯周病=歯周膿漏(しそうのうろう)になる可能性があります。歯周膿漏(しそうのうろう)は歯を支えている歯槽骨が破壊される症状のことです。

2.歯周病のセルフチェック

自分が歯周病にかかっているのか、簡単に確かめる方法があります。チェックポイントや歯周病になりやすい人について把握しておきましょう。

2-1.チェックポイント

  • 朝起きたときに口の中がねばねばする
  • 口臭が気になる
  • 歯磨きをするときに出血する
  • 歯肉(しにく)が赤く腫れている(ピンク色ではない)
  • 歯肉(しにく)に痛みを感じる
  • 硬い食べものがかみにくい
  • 歯が長くなった
  • 歯と歯の間にすき間ができた

以上の項目に3つ以上当てはまる方は、歯周病の可能性があります。6つ以上の場合は歯周病がすでに進行しており、項目すべてに当てはまる場合は症状がかなりすすんでいると思ってください。

2-2.歯周病になりやすい人

不規則な生活習慣を続けている人・ストレスを抱えやすい人・肥満タイプの人・たばこをよく吸う人が歯周病になりやすい人です。不規則な生活習慣や過剰なストレス・たばこは免疫力低下につながり、歯周病進行の原因ともいえます。内臓脂肪が蓄積されている肥満は、炎症性の物質が体の血管をとおして歯茎に到達するため、歯周病も悪化しやすくなるのです。

3.歯周病と口臭について

歯周病と口臭は、一体どのような関係があるのでしょうか。口臭が気になる方は歯周病自体を治さなければなりません。これから、歯周病による口臭の特徴や原因・チェック法など詳しく説明します。

3-1.歯周病と口臭の関連性について

歯周病は歯槽膿漏(しそうのうろう)とも呼ばれています。「膿」という漢字が入っているように、歯周病が悪化すると膿(うみ)が出てくるのです。膿(うみ)は歯のまわりの骨が溶けた証拠ともいえます。この膿(うみ)の出現によって、ひどくなるのが口臭です。膿(うみ)は強烈な臭いを発するため、周囲の人に嫌な思いをさせてしまいます。

3-2.歯周病による口臭の特徴

歯周病による口臭は、2つの特徴を持っています。1つ目は、メチルメルカプタンという揮発性硫化化合物です。腐敗したタマネギのような臭いが特徴的で、歯と歯の間にできたみぞにたまる歯石(しせき)が要因だといわれています。そして、2つ目は、硫化水素です。硫化水素は唾液や血液・食べかすなどを分解するときに発生する揮発性硫化化合物で、腐敗した卵の臭いがします。

3-3.なぜ口臭が発生するのか

【3-1.歯周病と口臭の関連性について】で説明したとおり、膿(うみ)や歯に付着するプラーク(歯垢)が臭いを発する原因です。きちんと歯磨きをしなかったり、規則正しい生活を送っていなかったりすると、歯垢(しこう)を取りのぞくことができず、臭いが発生します。

3-4.口臭のチェック方法

口臭は自分で気づくことができません。ただし、口の中の状態や症状によって口臭の有無を確かめることができます。口臭のチェック方法として、以下のポイントに注目してください。

  • 朝起きたときに、口の中がねばねばする
  • 口が渇く
  • 免疫力が低下している
  • 過剰なストレスを感じている
  • たばこを吸っている

また、人と話をしているときの相手の様子もチェックしてみてください。相手が顔をそむけたり、鼻付近を手でおおったりというしぐさを見せる場合、口臭が悪化している可能性があります。

4.歯周病の治療法

歯周病の治療法は自分でするセルフケアと歯医者でおこなう治療の両方が必要です。受診すべき症状や主な治療法など詳しく説明しましょう。

4-1.受診すべき症状とは?

歯周病は初期治療が大きなポイントです。そのため、歯茎や歯に少しでも異常が見られた場合はすぐに受診してください。「いつか治るから大丈夫」「一時的な症状かも」と甘く見てはいけません。放置するほど症状が悪化します。

4-2.主な治療法

歯周病の主な治療法は、歯石の除去と歯周ポケットの改善です。歯周ポケットは深くなるほど歯周病のもとになる菌がたまります。蓄積されれば膿(うみ)が出て口臭が悪化するのです。そのため、歯医者では歯周ポケットの改善治療がおこなわれます。歯周ポケットが浅い場合は、歯石の除去や正しい歯磨きで済むでしょう。しかし、6~8ミリメートル以上になると切開します。歯茎を開き、中に隠れている歯石を取りのぞく外科処置です。9ミリメートル以上だと、抜歯することになるでしょう。

4-3.歯石除去について

歯科医でおこなう歯石除去は、歯周病の基本的な治療です。自分で取りのぞくことができない歯石を歯医者の専門機器で取りのぞくことができます。歯の表面についている歯石は、超音波の振動で粉砕し除去できますが、奥にこびりついている場合は外科処置が必要です。

4-4.治療期間と費用について

初期段階であれば、およそ2カ月で治療できるでしょう。中期の段階はおよそ3カ月~1年、重度になると1年~数年の治療が必要です。また、費用も初期段階なら安く抑えることができます。簡単な歯石除去でおよそ800円~1000円(保険適用外)です。歯石除去だけでは保険が適用されません。ほとんどの場合、歯周病治療の一環としておこないます。歯周病の検査費用は1回につきおよそ2000円~3000円です。しかし、切開や抜歯などの外科治療になれば歯1本につき3000円~と高くつきます。

4-5.再発の可能性

せっかく歯石除去をおこなったとしても、生活習慣が乱れていたり、歯磨きをしなかったりすれば、歯周病が再発可能性は十分にあり得ます。大切なのは、治療と同時にセルフケアをおこなうことです。セルフケアは歯周病・口臭予防にもつながります。

5.歯周病と口臭予防

それでは、一体どのような歯周病・口臭予防を始めていけばいいのでしょうか。主な予防方法を4つ紹介します。

5-1.プラークコントロール

歯周病・口臭予防の基本として挙げられるのが、プラークコントロールです。プラークコントロールは、歯に付着しているプラーク(歯垢)を減らします。プラーク(歯垢)が歯周病や虫歯の原因になるため、量をきちんとコントロールすれば予防できるのです。プラークコントロールは自分で簡単にできます。それは、適切なブラッシング・歯磨きです。

5-2.歯ブラシの選び方

適切なブラッシングに歯ブラシは必要不可欠です。歯ブラシを選ぶときは毛が柔らかいものにしてください。柔らかい歯ブラシは過度な刺激を与えず、ほどよい刺激で健康的な口内環境へと導いてくれます。プラークを除去するだけでなく、歯茎のマッサージもできるため一石二鳥です。

5-3.生活習慣の改善

普段の生活習慣にも気をつかわなければなりません。特に、睡眠は免疫力を高める大切なポイントです。きちんと睡眠を確保する・栄養バランスの良い食事をする・適度な運動をする・早寝早起きをするなど、自分でできることはたくさんあります。生活習慣を見直すだけでも、口臭が抑えられるのです。また、食事の際はかむ回数を増やし、唾液量を増幅させましょう。唾液は口内にある雑菌や食べかすを洗い流す力を持っています。

5-4.歯科医での定期検診

セルフケアと同時に、歯科医での定期検診も必要です。定期検診は虫歯や歯周病の早期発見につながります。症状が悪化する前に、細菌や歯石を取りのぞくことができるため、予防に効果的です。歯科医の定期検診では、主に、状態のチェックや歯石の除去・歯のクリーニングをおこなうでしょう。せめて、3カ月~半年に1回は定期検診を受けてください。

6.歯周病と口臭にかんしてよくある質問

歯周病と口臭にかんしてよくある質問を5つピックアップしました。

Q.歯に痛みが出てきた場合はどうすべきか?
歯に痛みが出てきた場合は、歯周病が悪化している恐れもあるためすぐに受診してください。痛みが出ている患部を冷やしたり、一時的な処置として痛み止めを服用したりするのも1つの対処法です。

Q.歯周病の初期症状は?
歯周病の初期症状としては、歯肉炎が挙げられます。歯肉炎とは歯茎が腫れることです。歯肉(しにく)がピンク色から赤色になり、歯と歯の間の歯肉(しにく)が丸みを帯びてふくらみます。また、ブラッシングをすると出血したり、歯と歯の間に歯垢(しこう)がたまったりするでしょう。

Q.口臭対策でやってはいけないことは?
アルコールや刺激物など、普段食べているものが口臭に悪影響をおよぼすことがあります。口臭を改善するためにも、アルコールは控えてください。また、たばこを吸っている人は本数を少なくしましょう。急にやめるのは難しいと思うので、少しずつ減らす努力から始めてください。

Q.歯磨きの頻度は1日どのくらいか?
歯磨きは歯周病・口臭予防の大切なポイントですが、やりすぎは逆効果です。逆に、歯茎を傷つけてしまい、細菌が入り込みやすくなります。そのため、歯磨きは朝・晩と1日2回を心がけてください。昼間、食べかすが気になるのであればデンタルフロスを使って除去しましょう。

まとめ

歯周病は歯茎が赤く腫れあがり、放置すると歯の周囲にある骨が溶けてしまう可能性もある病気です。早急に治療を始めなければ、自分の歯を失う可能性があります。また、発生する膿(うみ)によってひどい口臭にも悩まされるのです。口臭は歯周病を治すことが大切なポイントでしょう。口臭を何とかしようとするのではなく、まずは、歯周病・虫歯の改善と予防に努めてください。歯磨きや生活習慣の改善によるセルフケアと歯医者でおこなう定期検診で予防することもできます。毎日の正しい口腔ケアで歯垢を取りのぞき、頑固な歯石は歯医者で除去していきましょう。歯周病と口臭の関連性や知識を習得しておけば、口臭に悩まされる日々から抜け出すことができます。