親知らずの悩みを抱えている人は多いでしょう。歯医者で親知らずがあることを指摘され、抜歯をすすめられたことはありませんか? 確かに、親知らずはトラブルを起こすことが多いため、抜歯が必要になる場合もあるでしょう。自分の親知らずは抜く必要があるものなのか、抜くとしたらどのような治療が行われるのか、把握しておくことをおすすめします。この記事では、親知らずにかんする悩みについて具体的にご紹介しましょう。
この記事を読むことで、親知らずの悩みを解消してください。どうするべきか迷っている人の参考になるはずです。
1.親知らずとは?
まずは、親知らずについて解説します。
1-1.定義
親知らずの正式名称は「第三大臼歯」です。最前方の前歯から数えて8番目にある、最も奥の歯を言います。永久歯が生えそろった後で生えてくることが多いため「親に知られることなく生えてくる歯」という意味でこのように呼ばれるようになりました。
1-2.親知らずがある人とない人について
親知らずは誰にでも生えてくるものではありません。4人に1人は親知らずが生えない人もいると言われているのです。生えるか生えないか、その違いには、顎の大きさが関係しています。顎が小さい人は、永久歯が生えそろって歯列が形成された時点で、親知らずが生えてくる余地がないのです。その中でも、歯茎の中に親知らずが埋まっているのに生えてくることができない場合は、歯茎が炎症を起こすなどのトラブルが起こりやすいため、注意が必要でしょう。そのほかにも、歯茎の中にも親知らずの原型が存在しない人もいます。その原因は遺伝子にあると考えられていますが、ないからと言って特に問題はないのです。
2.親知らずの悩みと症状
トラブルが多いと言われている親知らずには、どのような悩みや症状があるのでしょうか。
2-1.親知らずの悩みとは?
親知らずの悩みはたくさんあります。たとえば、顎が成長しきる前に親知らずが生えてきてしまうと、その影響で大人になってから歯並びが悪くなってしまうこともあるのです。噛(か)み合わせが悪くなると歯みがきがしにくくなり、虫歯のリスクも高まります。また、親知らずが原因で痛みや腫れが出てくることもあるでしょう。歯みがきしにくいことから歯周ポケットに汚れがたまり、歯茎が炎症を起こしてしまうのです。痛みで噛(か)むことができなくなったり、口を開けることができなくなったりします。
2-2.歯以外の痛みや症状は?
親知らずの炎症が広がり、歯以外の症状が現れる場合もあります。喉が炎症を起こし、唾を飲み込むこともできないほどの痛みが起こると、脱水症状の危険性も考えられるでしょう。また、リンパ腺にも影響が及び、発熱が起こることもあります。
3.親知らず、抜く? 抜かない?
親知らずがあっても抜かなくてよいのはどのようなケースでしょうか。
3-1.抜く必要性があるのか?
親知らずがあるからと言って必ずしも抜かなければならないわけではありません。問題は、歯として問題なく機能しているかどうかです。ほかの歯と同じように機能しているのであれば、抜かなくてもいでしょう。抜くべきか抜かなくてもよいか、基準を次項でご紹介します。
3-2.抜かなくても大丈夫なケースとは?
親知らずを抜かなくても大丈夫なのは、以下のようなケースです。
- まっすぐ生えている
- 歯茎が親知らずに覆(おお)いかぶさっていない
- 上下の親知らずがしっかりと噛(か)み合っている
この3つの条件がそろっている場合は、親知らずにトラブルが発生しにくいでしょう。抜かなくても問題ないケースがほとんどです。
3-3.抜かない場合の治療経過
親知らずが虫歯や歯周病になってしまっても、抜かずに治療できる可能性はあります。進行の程度が軽ければ、通常の歯と同じように「削って詰めものを入れる」という治療法を選択できるでしょう。ただし、正しい歯みがきの方法を身につけるなど、普段から丁寧なケアを心がけることは必要になります。
3-4.抜く必要がある人とは?
抜歯が必要なケースは、以下のとおりです。
- 親知らずが斜めに生えている
- 親知らずの虫歯や歯周病が進行している
- 腫れや痛みを繰り返している
このような場合、抜歯をしないで治療することは難しいでしょう。
3-5.放置するとどうなるか?
親知らずの治療や抜歯をしないまま放置しておくと、虫歯や歯周病の悪化を招くだけでなく、ほかの歯にも影響を与えることになります。歯並びの崩れや顎関節症の原因にもなるため、早めに対処することがおすすめです。特に女性は、妊娠や出産時に親知らずのトラブルが起こりやすいと言われています。ホルモンバランスの変化から抵抗力が落ち、親知らずに強い痛みが出ることもあるのです。妊娠時は薬の服用に制限があるため、痛みを我慢しなければなりません。そうなる前に、対策を考えておきましょう。
4.親知らずの治療法
親知らずの治療法をまとめました。
4-1.検査方法
親知らずの抜歯が必要かどうかは、歯科用レントゲンやCTを使って検査します。生えている方向や根の数、周囲の骨の状態などを正確に把握するためには、CT検査が望ましいでしょう。適切な治療計画を立てることができるため、体への負担も少なくて済みます。
4-2.治療方法
親知らずを適切に治療する方法は、生え方や症状の程度によって変わってきます。まっすぐ生えている親知らずが初期の虫歯になった程度であれば、通常の虫歯治療が適応されるケースが多いでしょう。虫歯が神経に達するほど進行している場合や、親知らずが斜めに生えている場合などは、今後のトラブルを予防するためにも、抜歯することがすすめられます。
4-3.抜く場合に知っておくべきこと
親知らずを抜く前に、治療の流れや時間・費用などについて知っておきましょう。
4-3-1.施術の流れ
まず、表面麻酔と部分麻酔をし、専用の器具を使って歯を歯茎から引き離します。親知らずが骨の奥に埋まっている場合は、周りの骨を削ったり歯を割って小さくしたりしながら抜歯することになるでしょう。抜歯後は糸で傷口を小さく縫い、止血用のスポンジを入れます。翌日に消毒をし、1週間ほど経過したころ糸を取って完了です。
4-3-2.時間と費用
抜歯にかかる時間と費用は、親知らずの生え方によって異なります。まっすぐに生えている場合は、麻酔から縫合までの時間は10分程度です。費用も2,000円程度で済むでしょう。横向きに生えている場合は、歯茎を切開する必要があるため、20分以上はかかります。この場合、費用は3,000円ほどかかる場合がほとんどです。歯茎の中に親知らずが埋まっている場合は、歯茎や骨を取り除いてから抜歯するため、30分以上かかることもあります。費用は4,000円程度かかると思っておきましょう。そのほかにも、抜歯前に歯石を取る費用や、レントゲンの費用がかかります。
4-3-3.麻酔
親知らずの抜歯では伝達麻酔を使用することが多く、その効果は治療後3~6時間持続します。麻酔が効いている間は感覚が鈍っているため、熱いものを食べる際などにはやけどに気を付けましょう。麻酔が切れた後は痛みが出ることもあるため、痛み止めが処方されます。
4-4.口腔(こうくう)外科での手術について
親知らずの状態によっては、歯医者ではなく口(こうくう)腔外科での処置が必要になる場合もあります。親知らずが顎の神経に絡みついている場合や顎の骨の奥にある場合などは、口腔(こうくう)外科で抜歯した方がよいでしょう。また、糖尿病や骨粗しょう症などで全身の管理が必要な場合なども、口腔(こうくう)外科での抜歯がおすすめです。場合によっては入院して全身麻酔の上、抜歯を行うこともあります。
4-5.抜歯後のケアについて
抜歯後は激しい運動や長風呂をすると痛みが強くなることがあります。できるだけ安静にして過ごすようにしましょう。感染予防の抗生物質や痛み止めの薬が処方された場合は、医師の指示を守って服用してください。抜歯後1週間以上たっても痛みが続くときは、ドライソケットの可能性があります。抜歯した穴が血液で覆われず、骨がむき出しになってしまう状態のことです。ドライソケットは、抜歯後に何度もうがいをすると起こりやすくなります。口の中に血がにじむため気になると思いますが、できるだけうがいをしないようにしてください。ドライソケットが悪化すると骨が炎症を起こす原因になります。強い痛みが続くときは、すぐに受診しましょう。
5.親知らずにかんするよくある質問
「親知らずについて知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめてみました。
5-1.親知らずを抜くと小顔になれるというのは本当ですか?
A.劇的な小顔効果はありません。しかし、もともと顎や頬骨(きょうこつ)が張っている人は、親知らずを抜くことでラインがスッキリし、小顔になったように感じることは多いでしょう。
5-2.親知らずを残すことで、何かの役に立つことはありますか?
A.ほかの歯を抜歯した場合に、そこに移植することができます。そのほかにも、親知らずを支えにしてブリッジを入れることも可能です。
5-3.抜歯にかかる時間が長いと、抜歯後の痛みは強くなりますか?
A.抜歯にかかる時間が長くなるということは、骨に埋まっているなど抜歯が難しいケースがほとんどです。抜歯後の痛みの強さに比例することになるでしょう。
5-4.親知らずが口臭の原因になるというのは本当ですか?
A.本当です。歯みがきがしにくいこと、歯茎がかぶっていることから、歯と歯茎の間に汚れがたまりやすく、口臭の原因になります。
5-5.親知らず抜歯後の腫れはどう対処すればよいですか?
A.腫れは抜歯後3日程度続く場合がほとんどです。タバコやお酒、激しい運動は控え、できるだけ安静に過ごすようにしましょう。痛みがある場合は、処方された痛み止めを飲んでください。
まとめ
いかがでしたか? 親知らずはトラブルの原因になりやすいため、抜歯をすすめられる人も多いと思います。自分の親知らずは本当に抜かなければならないのか、抜くとしたらその理由は何なのか、きちんと知っておく必要があるでしょう。親知らずを抜く際には、注意点もいくつかあります。ぜひこの記事を参考にして、不安を解消してください。