歯の健康を保つ4つの秘訣! 虫歯・歯周病の予防方法は?

歯の健康は年齢とともに衰えてしまうと思いがちです。しかし、正しくケアすることで80才になっても20本以上の歯を保つことができます。20代のうちは歯の健康を気にせず過ごしていても、歯周病などがひそかに進行して40代で抜け落ちる可能性も否めません。他人事ではないですよ。

ただ、気付いた時点で、歯の健康は取り戻すことができます。今回は歯の健康について4つの項目でまとめてみました。

  1. 歯の健康について
  2. 健康な歯とは?
  3. 歯を失う原因について
  4. 歯の健康を保つための対策
  5. 歯の健康にかかわるよくある質問
  6. まとめ

記事を読み終わるころには、歯の健康をたもち、弱った歯を治す方法を知ることができます。老若男女問わずお読みいただきたい内容ですので、ぜひご一読ください。

1.歯の健康について

歯の健康について説明するには“歯”について知識が必要です。あって当たり前に思いがちですが、役割や重要性を一度おさらいしておきましょう。

1-1.歯の役割

歯は食べ物を咀嚼(そしゃく)するのに欠かせません。また、健康な歯で笑っている人は魅力的に見え、好印象です。そのほか、健康な歯というのは口内環境が良い状態を指します。歯茎も整っており口臭だってありません。歯と聞くと“噛(か)むため”と考えがちですが、日常生活のエチケットや他人からの印象にも大きくかかわるものです。

1-2.重要性

歯が健康であれば、年を取っても“自分の歯”で食べ物をおいしく味わうことができます。20才、50才、80才と年を取るにつれ、ケアを怠っていると、虫歯や歯周病などの要因で歯は失ってしまいかねません。抜けた歯の代替を作るのには費用がかかり、後回しにしてしまいがちです。けれど、歯が抜けていると不健康な印象を持たれてしまいます。自分でも笑うのをためらってしまうでしょう。
歯の健康をたもっていれば上記の心配はいりません。将来を考えてみてください。自分の見た目を守り、家計を助けることにつながるのです。

1-3.“体の健康”と“歯”の関連性について

歯の健康が損なわれるのは、遺伝的なケースを除いて生活習慣が影響しています。タバコを吸う方はヤニで歯が黄ばんでしまうでしょう。不規則な生活を送っている人は口内環境が乱れ、最悪歯がボロボロになってしまいます。また、悪い生活習慣は歯にとどまらず、体の健康を脅かしかねません。

  • タバコ(ガンの発症率を上げます)
  • 不規則な生活(糖尿病などの生活習慣病歯を引き起こしかねません)

おわかりでしょうか? 歯周病などで歯が抜けたとき、実は体のどこかで異変が起きている可能性もあるのです。歯の健康を保つことは、結果的に体の健康維持にもつながっています。

1-4.歯が悪いのを放置すると、どうなる?

歯も体の1部です。臓器や脳と同様、体と神経でつながれています。したがって、歯が悪いのを放置していると体に悪影響を及ぼす可能性を否定できません。身近なところでいえば虫歯で頭痛を引き起こすこともあります。そのほか、歯槽膿漏(しそうのうろう)で歯茎から細菌が血液に入って心臓に達すれば、感染して細菌性心内膜炎になることもあるでしょう。歯の健康とはいえ、その効果は「全身に現れる」と認識を改める必要があります。

2.健康な歯とは?

健康な歯について解説するので、ご自身の歯と照らし合わせてみてください。歯の寿命や、歯の健康を推し進める“8020運動”についても解説します。

2-1.健康な歯の定義

  • 口臭がない
  • 虫歯がない
  • 自前の歯がそろっている
  • 歯茎が引き締まっている
  • 歯垢(プラーク)や歯石がない

簡単に挙げると、上記の事柄が“歯が健康である”といえる状態です。フランスパンやお寿司(すし)のタコなどの硬いものを食べても歯に違和感がなければ問題ありません。

2-2.平均的な歯の寿命

本当の寿命は“あなたしだい”ですが、一般的な基準ですと、上の前歯でおよそ56~58年、奥歯でしたら46~54年と少し短くなります。同様に下の前歯は62~63年であるのに対し、奥歯になると45~58年です。普段どこの歯を使って食事をしているか、より正確にいうと“どこの歯に磨き残しがあるのか”ということで寿命は前後します。

2-3.歯の本数は?

歯は“親知らず”を含めると基本的に32本です。ですが、親知らずはない方もいますし、生え方によっては抜歯してしまうため、本数は上下合わせて28と覚えておきましょう。

2-4.8020(ハチマルニイマル)運動とは

厚生労働省と日本歯科医師会が推進する、「80才になっても20本以上、自分の歯をたもとう」という運動を8020運動といいます。発足されたのは1989年です。最近(2013年)では、東京都港区で50%の区民が達成できたと発表しました。なお、この「区民の半分が達成した」という実績は、厚生労働省が2022年までに達成しようと目標にしていたもので、快挙といえます。

3.歯を失う原因について

前項で歯の健康について学んだところで、今の生活を振り返る意味でも“歯を失う原因”を知っておきましょう。何才ぐらいから歯が失われてしまうのかも気になるところです。

3-1.歯の健康が失われる原因は

“虫歯”と“歯周病”が歯の健康を損ねる2大要因となります。そして、この2つを引き起こすのは先天的なケースを除いて“生活習慣”です。生活習慣には食事・睡眠といった生きるうえで欠かせない事柄をはじめ、タバコなどの嗜好(しこう)品・歯磨きなども含まれます。いわば“日常そのもの”です。普段どんな生活を送っているかで、歯の健康は左右します。

3-2.歯を失い始める年齢

40~50代に差しかかると歯を失い始める傾向にあります。本数は大体2~5本です。さらに年を取ると一気に本数は減ります。

  • 60代(11本)
  • 70代(18本)
  • 80代(22本)

前項で述べた“健康な歯”の本数を覚えているでしょうか? 親知らずを除いて28本です。思った以上に自前の歯を残している方が少ないと驚きますね。また、8020運動で目標にしている残存歯20本という数字は、食事を支障なく楽しめる基準です。したがって、60代の時点でほとんどの方が「食事がしづらくて困っている」ともいえます。

3-3.虫歯

歯磨きをしないで寝る日がある方は、特に虫歯になりやすいです。甘いものが好きでも、毎日きちんと歯磨きをしていれば虫歯は予防できます。ところが、だ液の分泌量も減る“睡眠時”に口の中が食べかすだらけですと、雑菌にとっては楽園です。虫歯菌が酸を出して歯を溶かし始め、放っておくと激しい痛みに襲われ、最悪抜歯も免れません。

3-4.歯周病

現在、日本では大人の8割が歯周病といわれています。歯茎に細菌が入り込んで炎症を起こすと歯周病となりますが、困ったことに痛みはほぼありません。気付かないうちに進行するケースが多く、年を取ってから歯茎が熟れたトマトみたいになったり、歯槽膿漏にまで悪化して歯が抜けたりします。

3-5.歯磨き

歯の健康を損ねる直接的な原因は“ちゃんと歯磨きをしないから”です。自分ではしっかり磨いているつもりでも、「歯間」や「親知らずと奥歯の境目」など、どこかに磨き残しはあります。特にブリッジ・入れ歯などをしている方は要注意です。定期的に洗浄しないと雑菌が増えやすく、歯を支える固定具にも気を配る必要があります。

4.歯の健康を保つための対策

最後の項は実践編です。治療の必要性はもちろん、歯科医で推奨する“歯の健康を保つ秘訣(ひけつ)”についても解説します。

4-1.虫歯治療

虫歯は早期治療を心がけましょう。初期であればフッ素を塗布し、溶けた歯のミネラルを修復する“再石灰化”を促して治療を簡単に済ませることができます。しみたり痛んだり、症状を問わず異変を感じたら歯医者に行くことがおすすめです。虫歯がなくても歯科で定期検査ができます。そのほか、虫歯の治療には神経や虫歯菌を徹底的に取り除いて「かぶせ物」をする“根管治療”という治療法もありますが、神経を取ると歯の寿命は短くなるのでおすすめできません。

そもそも人によって歯の根は形が複雑で異なるため、完全に除去するのは難しいのです。中途半端に残っていると「歯医者に行ったのに治らない」という事態になりかねません。「ひどい虫歯=神経ごと取る」という構図は“ひと昔前”のこと。今は虫歯にドックスベストセメントという薬を詰めて治す“ドックスベストセメント治療”という治療法もあります。麻酔をほぼ使わず、かつ削らないで虫歯の治療が可能です。

4-2.歯周病の治療

歯周病の治療は程度に合わせて変わります。下記に簡単にまとめてみましたのでご覧ください。

  • 初期(ブラッシングの指導、歯石や歯垢の除去)
  • 中期(麻酔をして、歯茎の奥で歯に付着した歯石や歯垢を除去します)
  • 末期(歯茎を切開して、歯垢や歯石を取り除く外科手術をおこないます)

歯周病の予防は、初期治療でもあるブラッシングが最も効果的です。一度歯科を受診して指導を受けることを推奨します。

4-3.プラークコントロールの必要性

プラークコントロールとは、“歯垢のない状態を維持すること”です。食事をすると歯にざらざらとした感触があったり、歯のすき間に白いカスがたまっていたりすると思います。このカスが歯垢であり、歯垢自体が雑菌のたまり場となっているのです。そして、歯垢はやがて硬化して歯石になります。歯周病はおよそ歯垢や歯石によって引き起こされるため、まだ柔らかい歯垢の時点で、きれいに取り除くことが肝心です。

4-4.定期検診のススメ

「歯が痛くなったら歯医者に行く」という認識の方が多いでしょう。ですが、歯科業界ではおすすめしていません。虫歯・歯周病問わず、症状が軽いうちに発見・治療ができれば歯の健康をたもちやすいからです。歯科でも定期検診を推奨しているので、「定期検診に来ました」と受付でお伝えいただければ伝わります。現状、虫歯・歯周病ともに放置されてしまいがちです。ひと月とまではいいませんが、せめて3~6か月に1度は歯科で定期検診を受けるようにしてみてください。

5.歯の健康にかかわるよくある質問

この項ではインターネットを介して寄せられるお問い合わせ内容をまとめてみました。歯の健康についてお悩みの方は参考にしてみてください。

Q.今日からできる正しい歯磨きを教えてもらえないでしょうか?
A.まず持ち方ですが、ペンを持つように歯ブラシを握ります。理由は、手のひらで握ってしまうと力が入りすぎるからです。そして、歯ブラシを歯の全体に当てて一気に磨くのではなく、1本1本を小刻みに磨きます。なお、歯間や歯の根元は歯垢がたまりやすい箇所ですので注意して磨いてください。

Q.歯の健康を保つのに必要なものはありますか?
A.歯ブラシで正しく歯を磨けているのであれば問題ありません。とはいえ、ぜひ歯間・舌ブラシを使ってみてください。染色液で染め出しをすると、意外と歯間に磨き残しがあります。歯間ブラシを使うことで改善できますので試してみてください。また、歯をきれいにしても舌が汚れていては口内環境が好ましくありません。ぜひ舌ブラシも併せてそろえ、口内を毎日お掃除してあげましょう。

Q.矯正は歯の健康にかかわりあるのですか?
A.歯並びによって歯磨きがしづらい場合など、矯正をした方が良いケースもあります。部分的に矯正することもできますので、ぜひ一度歯科医に相談してみてください。

Q.親知らずは抜いた方が良い?
A.生え方によります。隣の歯を押し込むような形で生えている場合は抜いた方が良いでしょう。圧力で歯並びが徐々に悪くなる可能性があります。また、親知らずと奥歯のすき間は歯磨きがしづらい箇所であり、非常に虫歯になりやすいです。鏡で確認するにも見えない箇所なため、なかなかチェックできないかと思います。そのため、虫歯のチェックをかねて一度歯科医に相談し、今後の生え方を予想して抜くかどうかを決定してください。

6.まとめ

最後まで記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。歯の健康について一挙にまとめてきましたがいかがでしょうか? まずは今の自分の歯がどういう状態なのか確認し、気になることをメモして歯科を受診してください。歯にかかわることでしたらすべての質問にお答えでき、将来的な目線で指導、または治療を進めていきます。もちろん、虫歯や歯周病が見当たらなくても問題ありません。歯の定期検診は、歯の健康を保つに最も効果的な方法です。ぜひ一度試してみてください。