「歯並びが悪くて口を開けて笑うことができない」「歯並びが悪くて虫歯ができやすい」など、歯並びに関する悩みを抱えている人は、たくさんいます。歯並びは見た目だけではなく、歯の健康や精神状態にも影響を与えるものです。では、歯並びが悪くなる原因はなんでしょうか?
今回は、歯並びが悪くなる原因や歯列矯正の方法を紹介します。
この記事を読めば、歯列矯正を行うメリットや費用などについてもよく分かるでしょう。歯並びをキレイに保ちたい人や、歯列矯正を考えている人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.歯並びに関する基礎知識
はじめに、キレイな歯並びと悪い歯並びのそれぞれの特徴や、歯並びが悪い問題点などを紹介します。
1-1.よい歯並びの特徴
よい歯並びとは、奥歯をしっかりとかみしめた状態で以下のような状態になることです。
- 上下の前歯の中心が合っている
- 上下の前歯が、上下方向と前後方向に2~3㎜の間隔で重なり、交互にかみ合っている
よい歯並びだと見た目がキレイなだけでなく、しっかりとものをかむことができます。ですから、胃腸の負担も少なくなり健康にも一役買っているのです。
1-2.悪い歯並びの種類
ここでは、歯列矯正がすすめられる可能性がある、悪い歯並びの一例を紹介します。
1-2-1.叢生(そうせい)
叢生は、歯の大きさに対しあごが小さすぎるため、歯が重なり合って生えている状態です。八重歯(やえば)も叢生の一種で、ひどくなると「ガチャ歯」などとも呼ばれます。不整咬合(ふせいこうごう:かみ合わせが悪い状態)の中で患者数が最も多く、全体の40%です。
1-2-2.上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突はいわゆる出っ歯のことで、前歯が前方へ突出している状態です。上あごの骨が下あごの骨より大きいとなりやすいほか、指しゃぶりなど前歯に負担がかかりやすい生活習慣があるとなりやすいと言われています。
1-2-3.下顎前突(かがくぜんとつ)
下顎前突は、受け口とも呼ばれる下の歯が前歯よりも突出している状態です。遺伝的な要因で発生するほか、口呼吸を続けているとなりやすくなります。
1-2-4.開咬(かいこう)
開咬とは、奥歯をしっかりとかみ合わせると、前歯に隙間があいてかみ合わなくなる状態です。前歯でものをかむことができず、見た目もよくありません。遺伝的な要因でなるほか、おしゃぶりの長期使用や口呼吸・舌のくせなどで起こりやすくなります。
1-3.歯並びが悪いデメリット
前述したように、歯並びが悪いと見た目が悪くなります。歯は口を開けると目立つ場所なので、コンプレックスになる可能性もあるでしょう。また、歯並びが悪いと歯みがきが十分にできず、虫歯になりやすくなります。さらに、食べ物を十分にかむことができず胃腸に負担がかかりつづければ、健康面にも悪影響が出るでしょう。
2.歯並びが悪くなる原因
この項では、歯並びが悪くなる原因の代表的な例を紹介します。
2-1.遺伝的な要因
あごの大きさや歯の生え方は、遺伝することがあります。両親が歯並びが悪いと、子どもも歯並びが悪くなる可能性が高くなるでしょう。
2-2.赤ちゃんのときの生活習慣との関係
前述したように、おしゃぶりの長期使用や指を吸うのが習慣になっていると、歯並びが悪くなる可能性があります。また、離乳食に柔らかいものばかり食べていると、口の周りの筋肉が発達しにくくなり歯並びに影響を与えることもあるでしょう。特に、口が開きっぱなしになりやすい赤ちゃんは注意が必要です。
2-3.クセが歯並びを悪くすることもある
よくかまずに食べ物を飲みこんだり、下あごを前につき出したりするクセがある子どもは、歯並びが悪くなりやすいでしょう。下あごをつき出す、指しゃぶりのようなクセは親が矯正することもできますが、かまずに食べ物を飲みこむクセは、気づきにくいものです。
2-4.鼻づまりが歯並びを悪くする
鼻づまりをしやすい人は、自然と口呼吸になります。口呼吸がクセになると、口を開けている時間が長くなり口周りの筋肉が発達しません。そのため、歯並びが悪くなる可能性も高まるでしょう。
2-5.歯周病や虫歯で歯並びが悪くなることもある
歯は、お互いを支え合って生えています。ですから、虫歯や歯周病で歯が抜けると歯並びが悪くなることもあるでしょう。また、歯ぎしりも歯並びに影響を与えます。大人になってからかみ合わせが悪くなったという人も、珍しくありません。
3.歯並びの治療方法
この項では、歯並びの治療方法について解説します。
3-1.歯列矯正が必要な歯並びとは?
歯並びが悪いと、歯医者が矯正をすすめるケースもあります。子どもの場合は、学校で受ける歯科検診で矯正をすすめられることもあるでしょう。また、大人になってから自分で歯並びの悪さが気になり、矯正を希望する人もいます。「このくらいの歯並びの悪さは、矯正が必要」という明確な基準はありません。しかし、歯医者が矯正をすすめた場合は、前向きに検討するのがおすすめです。
3-2.歯並びの矯正は子どもでも大人でも可能
歯列矯正は、基本的にどの年代も行うことができます。子どものときに行う場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。
- 抜歯をするケースが少なく、歯並びがキレイに治りやすい
- 成長するにしたがってあごが大きくなり歯が抜け替わるので、治療が長期になる
- 痛みや違和感に子どもがついていけないケースがある
- 途中で治療をやめると、歯並びが元に戻ってしまうことがある
一方、成人で歯列矯正を行うメリット・デメリットは以下のとおりです。
- 自分の意志で歯列矯正を行うので、痛みや違和感をがまんしやすい
- あごの大きさがすでに決まっているので、治療が短期で終わることがある
- 痛みが大きくなりやすい
- 健康な歯を抜歯しなければならないこともある
10歳未満で歯並びの悪さを指摘されたら、まずは歯科医師の診察を受け、いつから治療を開始するか相談しましょう。
3-3.歯並びを治す治療方法
歯並びを治す治療には、専用の器具を入れてあごを広げたり歯を移動したりします。また、子どもの場合、口の筋肉を鍛えることで歯並びを治す方法をすすめられることもあるでしょう。必要ならば、耳鼻咽喉科と連携して鼻づまりを治し、鼻呼吸ができるようにします。大人の場合は、抜歯をすすめられることもあるでしょう。歯医者とよく相談することが大切です。
3-4.基本的に保険はきかない
歯列矯正は、病気が原因であごの骨が変形して歯並びが悪くなったような例でない限り、健康保険が適用されません。自由診療となるので、歯医者ごとに値段が異なります。また、歯並びの状態によって治療方法や費用も異なるので、まずは歯医者を受診しておおよその治療費の見積もりを取りましょう。だいたい10万円台~が相場です。
4.歯並びの治療を受ける歯医者の選び方
この項では、歯列矯正を受ける歯医者の選び方のポイントを紹介します。
4-1.歯並びの治療を受けることができる歯医者
歯並びの治療は、「歯列矯正」を診療項目に入れている歯医者で治療できます。歯科医師の資格があれば、歯列矯正は行えますが、歯医者によっては行っていないところもあるので気をつけましょう。かかりつけ医がある場合は、そこで歯列矯正が行えるか、相談してみるといいですね。
4-2.歯医者の選び方
歯列矯正は、場合によっては年単位の治療が必要です。ですから、口コミや実績だけでなく通いやすい場所にあることを条件に、歯医者を選びましょう。評判のよい歯医者でも、通うのに時間と手間がかかると治療を続けるのがおっくうになります。かかりつけの歯医者があるが、そこでは歯並びの治療ができない場合は、治療ができる病院を紹介してくれることもあるでしょう。
4-3.審美歯科で治療は可能?
審美歯科は、歯のクリーニングやインプラントなど歯の見た目を整える治療を主に行っている歯医者です。審美歯科でも歯並びを治療することはできます。しかし、子どもは対象外であったり口腔外科手術が必要な場合は、治療を断られることもあるでしょう。
5.歯並びに関するよくある質問
この項では、歯並びに関するよくある質問を紹介します。
Q.永久歯に生え変わったら歯並びが悪くなることはあるでしょうか?
A.はい。あります。永久歯は乳歯より大きく数も多いので、あごが小さい場合は歯並びが悪くなるケースも珍しくありません。
Q.歯並びが悪いと、就職などに影響があると聞きました。
A.欧米では歯並びをとても重視しますが、日本ではそれほどでもありません。しかし、歯並びがコンプレックスになると自分に自信が持てなくなることもあるでしょう。
Q.歯並びの治療を受けたいのですが、費用を一括で払えない可能性があります。
A.今は、クレジットの分割払いやローンを受けつけてくれる歯医者もあるので、相談してみてください。
Q.手術が必要な歯並びの治療とは、どのようなものですか?
A.たとえば、あごの骨の異状によって歯並びに影響が出る場合は、口腔外科で手術が必要になるケースもあります。この場合は、健康保険が適用されるので、安心してください。
Q.虫歯で抜歯した場合、どうすれば歯並びをキレイに保ち続けられますか?
A.抜歯したところをそのままにせず、差し歯・ブリッジ・インプラントなどで義歯を入れましょう。
まとめ
今回は歯並びが悪くなる原因や治療方法などを紹介しました。歯並びが悪くても放っておく人もいますが、放置しておくほど健康に悪影響が出る可能性が高まります。虫歯の治療や定期検診などで歯医者に歯並びの治療をすすめられたら、ぜひ前向きに検討してみてください。