「部屋の乾燥を何とかしたい」「効果がある乾燥対策は?」など、部屋の乾燥で悩んでいる方は多いでしょう。部屋のベストな湿度は40〜60%と言われているため、40%以下の状態は乾燥状態となります。乾燥しているからとむやみに湿度を60%以上にしてしまうと、ダニが発生しやすい環境になるので上げすぎもよくないのです。
そこで、本記事では、部屋が乾燥することによる問題点や乾燥対策などについて解説します。
この記事を読むことで、部屋の乾燥を防ぐポイントが分かります。悩んでいる方はぜひチェックしてください。
1.部屋が乾燥する原因は?
まずは、部屋が乾燥する原因をチェックしておきましょう。
1-1.高気密・高断熱の構造ならではの24時間換気
部屋が乾燥する原因には、現在の日本住宅の特徴が深く関係しています。現在の日本住宅は、ほとんどが高気密・高断熱の構造です。しかし、高気密・高断熱の構造はシックスハウス症候群が問題になっているため、対策として24時間ごとに一定量の屋外空気を取り込む空調設備が設置されています。実は、この空調設備が乾燥の原因になっているのです。乾燥した屋外の空気を常に取り込んでいるため、室内も乾燥してしまいます。
1-2.鉄筋コンクリート造のマンションは乾燥しやすい
鉄筋コンクリート造のマンションは、木造一戸建ての住宅と比べて乾燥しやすい傾向があります。鉄筋コンクリート造は構造的に気密性が高くなっているからです。また、木材は湿度を調整する力がありますが、鉄筋コンクリート造の場合は木材が少ないことも原因と言えます。さらに、室内で加湿しても外から空気が常に入ることで加湿の効果が出にくい状態になっているのです。空気の流れが悪い場所で過度な加湿をしてしまうと、局所的な結露の原因にもなるので注意しなければなりません。
1-3.冬は乾燥しやすい!?
冬は乾燥しやすいと言われていますが、部屋の乾燥は室内と室外の温度差が主な原因です。室内の快適な温度は20~28℃ですが、冬場になると日中の平均気温は10℃以下、寒い地方では0℃以下になるところもあるでしょう。室内と室外では10℃以上の差が生まれることがあるのです。その結果、相対湿度(空気中に含まれる最大水分量に対する現状の水分量)が変化します。たとえば、相対湿度が100%で気温5℃の状態になっている室内が24℃に暖められると相対湿度が30%に下がるのです。それでも、適切な湿度の40~60%以下になるので、部屋が乾燥していることになります。
2.部屋が乾燥することによる問題点
では、部屋が乾燥するとどのような問題が起きるのでしょうか。
2-1.インフルエンザ・風邪などにかかりやすい
部屋の乾燥がひどくなると、インフルエンザや風邪などにかかりやすくなります。細菌・ウイルスは乾燥状態が悪化するほど活発化し、鼻やのどの粘膜も乾燥するのでそこから体内に侵入しやすくなるのです。特に、湿度40%をきるとウイルスに感染しやすくなると言われています。
2-2.脱水症状のリスクも
部屋が乾燥していると、脱水症状のリスクが高まるので注意が必要です。脱水症状は夏のイメージが強いと思いますが、汗をかいていなくても皮膚の乾燥によって水分が蒸発し脱水症状のリスクが高まります。乾燥している空気によって体内の水分が奪われ、冬場でも気づかないうちに脱水症状に陥るのです。
2-3.火事が起きやすい
空気が乾燥すると空気中の水分がなくなり、火事が起きやすくなります。冬場に火事のニュースが一気に増えるのは、空気中が乾燥しているからです。さらに、冬はストーブなどの暖房器具も使うことが多く、火を使う機会が増えます。空気中が乾燥していて暖房の不始末などがあれば、火災のリスクがさらに高くなるのです。
2-4.肌トラブルになりやすい
部屋が乾燥していると肌トラブルになりやすいのも問題点の1つです。肌から体内の水分が蒸発しやすくなり、肌のターンオーバーに必要な水分がなくなってしまいます。その結果、肌荒れや皮脂の過剰分泌が起きてしまい、シワやシミの原因にもなるのです。なかなか肌トラブルが治らなくなるので注意しなければなりません。
2-5.静電気がたまりやすくなる
部屋が乾燥していると体に静電気がたまりやすくなります。夏の湿った空気では静電気が逃げやすく、汗をかくため静電気が体内に蓄積されません。しかし、冬は空気中の水分も少なくなり、汗もあまりかかないので余計にたまりやすくなるのです。静電気がたまりやすくなると、ドアノブなどをつかむ際にバチバチッと静電気が走りやすくなります。そこから火災に発展するリスクもあるので注意が必要です。
3.部屋の乾燥をチェックするには?
ここでは、部屋の乾燥を自分でチェックする方法について解説します。
3-1.コップの水で簡単に乾燥状態をチェック!
家にあるコップで部屋の乾燥状態を簡単に調べる方法があります。用意するのは、氷水を入れたガラスまたは金属コップです。コップを部屋に置いて、コップのまわりにすぐ水滴がつくと比較的過ごしやすい湿度なので心配はいりません。しかし、2~3分経過しても水滴がつかなければ、部屋が乾燥している可能性があります。「少し乾燥しているかも」と思ったときは、ぜひこの方法でチェックしてみてください。
3-2.体で部屋の乾燥状態が分かる!?
実は、身体症状で部屋の乾燥状態を調べることができます。もし、以下の症状ある場合は部屋が乾燥している可能性が高いと言えるでしょう。
- 顔や指先がカサカサしてる
- 肌が突っ張るような感じがする
- 髪をとかしたときにパチパチッと静電気を感じる
上記のほか、テレビやパソコンなどの電化製品にホコリがつきやすくなっていると静電気がたまっている証拠なので部屋が乾燥している状態です。また、結露やカビが発生している場合は湿度が過剰に高い証拠なので、加湿のしすぎも注意しましょう。
3-3.スマホアプリで湿度を調べる
最近は、簡単にスマホで湿度を調べることができるアプリがあります。そのアプリを利用するのも方法の1つです。湿度計は100均ショップでも購入できますが、スマホアプリなら気軽に活用できるでしょう。スマホアプリは湿度だけでなく、温度も分かるので体調管理に最適と言えます。たとえば、「温度計++」というアプリです。気象庁のデータをもとにした正確な情報はもちろんのこと、見やすさと使いやすさが好評の要因になっています。現在地だけでなく、指定した場所の気温や湿度も確認できるのでおすすめです。
4.部屋の乾燥対策4選
ここでは、部屋の乾燥対策におすすめの4選を紹介します。
4-1.タオル・洗濯物を室内に干す
部屋の乾燥対策として、タオル・洗濯物を室内に干す方法があります。タオル・洗濯物に含まれている水分が蒸発することで加湿できるというわけです。部屋干しの独特な臭いが苦手な方は、臭いが気にならない洗剤を使ったり、消臭ミストを活用したりするといいでしょう。そして、なるべく日が当たる窓側に干すと加湿効果が高まります。また、アロマオイルをたらした水にタオルを浸して干してみてください。自分が好きな香りを楽しむことができるでしょう。
4-2.サーキュレーターを活用して空気を循環させる
除湿機やエアコンの除湿機能を使う方がいると思いますが、サーキュレーターを併用するとより乾燥を防ぐことができます。特に、部屋干しの洗濯物から出た水分を効率よく家の中で循環することができるでしょう。首ふりタイプのサーキュレーターを使えば、室内に満遍なく風が行き渡るのでおすすめです。また、サーキュレーターは暖房の暖かい空気を足元まで循環させ、冷たい空気を部屋中に行き渡らせることができるため、さまざまな面で活用できます。
4-3.観葉植物で加湿&空気洗浄を行う
室内に観葉植物を置くのも、乾燥対策の1つです。定期的に植物に水をあげることで自動的に葉から水を蒸発させ続けてくれます。その作用から、観葉植物は天然の加湿器とも呼ばれているのです。できれば、大きめの葉がついている観葉植物を選ぶといいでしょう。観葉植物は初心者でも簡単に育てることができるのでおすすめです。特に、サンスベリアは初心者でも育てやすい観葉植物として人気があります。乾燥時期は窓を閉め切りにしても大丈夫でしょう。また、クリスマスツリーとして使われることが多いコニファーもおすすめです。コニファーは部屋の湿度を一定に保つ効果だけでなく、消臭・脱臭・抗菌・防虫などの効果もあります。
4-4.そのほかの方法もたくさん!
乾燥対策として、そのほかにもたくさんの方法があります。たとえば、霧吹きで水をまく方法です。ルームスプレーやリネン用のスプレーを活用すれば、自分の好きな香りを楽しむことができます。また、浴室の扉を開放するのも乾燥対策の1つです。ただし、この場合は湿度が上がりすぎてカビの発生原因になることもあるので注意しなければなりません。浴槽に水をはった状態で扉を開けっ放しにする場合は時間を短めにするといいでしょう。そのほか、フローリングを水拭きする方法もあります。フローリングをぬれたぞうきんで水拭きすると、床に残った水分が蒸発して乾燥対策につながるのです。同時に、床に積もったホコリも除去できるのでウイルス対策にもなります。
5.部屋の乾燥に関してよくある質問
部屋の乾燥に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.季節に応じた湿度コントロールのコツは?
A.季節によって温度と湿度の両方を管理することです。たとえば、乾燥しがちな冬から春にかけては、石油ストーブやガスファンヒーターをつけたり、のどの粘膜の乾燥を防ぐためにマスクをしたりする方法があります。エアコンの利用時には加湿器を併用するといいでしょう。逆に、暑い夏は、湿度を徹底的に除去しようと思いがちですが、むやみに取り除くのではなく40~60%の快適湿度を維持し続けることが大切です。
Q.暖房器具は使わないほうがいいの?
A.暖房器具を使うと乾燥しやすくなるため、乾燥という観点から考えるとあまり適していません。乾燥の原因が空気の温度差にもあるので空気だけを暖めるのはNGです。また、室内の壁や家具が温まっていない状態でエアコンをきると空気が冷えてしまいます。そのため、暖房器具を使用する際は、適度に空気を入れ替えたり、湿度を調整しながら使ったりするといいでしょう。
Q.部屋の乾燥対策として空調設備を見直すべきか?
A.部屋の乾燥対策として、空調設備を見直すのも方法の1つです。少し大がかりになりますが、多くの住宅はキッチンやトイレなどに設置した換気扇から排気する構造となっています。最近は、熱交換型換気システムというものがあり、室内から排気する空気を使い吸気口から入った屋外の空気を暖めてから室内に取り入れることが可能です。排気する空気と吸気した空気が混ざらないので、空気が汚れる心配もないでしょう。
Q.湿度を高くしすぎる問題点は?
A.湿度を高くしすぎると結露が発生しやすくなります。結露はカビの原因になるため、建築物の老化や耐久性に影響を与えるでしょう。また、カビだけでなくダニが発生しやすい環境にもなります。乾燥対策のために加湿しすぎないように気をつけましょう。
Q.加湿器選びのポイントは?
A.超音波で細やかな霧や加熱で水蒸気を出すなど、さまざまな加湿方法があります。実際に、どのように湿度を上げることができるのか店頭で体験してみるといいでしょう。加湿器に何を求めるのかによって、適切な種類が異なります。また、適用床面積に合っているかも重要です。
まとめ
部屋の乾燥がひどくなると、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。また、火事のリスクが高まるなどさまざまな問題点が発生しやすくなるのです。部屋の湿度は40〜60%程度が最適だと言われているため、乾燥対策として加湿器やエアコンの機能を使うといいでしょう。ほかにも、観葉植物を置いたり、部屋干しをしたりするなどの方法があります。ただし、過剰な加湿はダニやカビの発生原因になってしまうので注意が必要です。