人の体は本来、鼻から呼吸をするようにできています。しかし、何らかの原因で鼻から呼吸がしにくくなると代わりに口呼吸をするようになるのです。鼻でも口でも呼吸ができればいいのではないか、と思う方もいるでしょう。しかし、口呼吸を続けていると体に悪影響が出ることも多いのです。そこで、今回は鼻呼吸と口呼吸の違いや口呼吸が体に与えるデメリット、矯正方法などをご紹介しましょう。
口呼吸は一度習慣付いてしまうとなかなか改善できません。口呼吸を改善したいという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
口呼吸と鼻呼吸の違いは?
この項では、口呼吸と鼻呼吸の違いについて説明します。いったいどんな違いがあるのでしょうか?
1-1.鼻呼吸とは?
鼻呼吸とは、鼻で呼吸をする方法です。鼻呼吸が正常に行えていれば、口をピッタリ閉じて長時間過ごしても問題ありません。風邪などで鼻詰まりが起こると一時的に口呼吸になりますが、通常は鼻詰まりが解消すればすぐに元に戻ります。
1-2.口呼吸とは?
口呼吸とは、文字どおり口で息をしていることです。口呼吸をしている方は、常時口が開いています。自分が口呼吸をしているかどうかよく分からないという方は、自分の顔を1~2分鏡に映し続けてみてください。だんだんと口が開いてきたり口を十秒以上閉じていられなかったりする場合は、口呼吸の可能性が高いのです。
1-3.口呼吸と鼻呼吸の違いは?
口と鼻は奥の方でつながっています。鼻の奥は上咽頭(じょういんとう)という名前で喉の入り口とされているのです。一方、口の奥は中咽頭という名前が付いています。しかし、鼻は粘膜や鼻毛で空気中の汚れをブロックしてきれいな空気を気管に送りますが、口呼吸は外気をそのまま喉の奥に取りこむのです。つまり、口呼吸の方は汚れた空気を体内に取り込んでいます。
1-4.口呼吸が増えているって本当?
人は鼻で呼吸をするように、生まれた時から自然と訓練をしています。生まれたばかりの赤ちゃんは母乳やミルクを飲んで育ちますが、飲んでいる最中は必ず鼻呼吸になるのです。しかし、あまりに早く乳離れをさせてしまうと赤ちゃんは鼻呼吸の習慣がつきにくくなります。日本では、30年ほど前から赤ちゃんの月例に合わせて一斉に離乳食が開始され続けているのです。この時、まだ鼻呼吸を覚えきれていないと、口呼吸になりやすいと言われています。これが、日本で口呼吸が増えている一因です。
口呼吸のデメリットは?
では、口呼吸を続けているとどのような弊害がおこるのでしょうか?この項では、口呼吸のデメリットをご紹介します。
2-1.口呼吸の主な原因は?
前述したように、口呼吸は赤ちゃんの頃に習慣付いてしまう人もいます。子どものころは口呼吸ができていても、大人になって副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で頻繁に鼻詰まりが起こっていると、自然に口呼吸になってしまうことも多いのです。
2-2.口呼吸のデメリットは?
口は元々呼吸をするための器官ではありません。口を常に開けっ放しにしていると頬から顎にかけての筋肉が発達せず、輪郭が崩れやすくなります。また、口を開けていると歯並びが乱れやすいのです。さらに、口を開けっぱなしにして眠るといびきをかきやすくなり、生活している家族にも迷惑がかかります。
2-3.感染症にかかりやすくなる
前述したように、口では大気の汚れをブロックできません。そのため、風邪を筆頭とする感染症にかかりやすくなります。また、花粉もそのまま気管に入るので花粉症のリスクもアップするでしょう。
2-4.口腔内のトラブルも起こりやすくなる
口の粘膜は鼻の粘膜より弱いため、外気に触れるとすぐに乾燥します。つまり、口呼吸をしている人の場合は鼻呼吸の人よりもドライマウスになりやすいのです。ドライマウスになれば唾液の分泌が減るため、歯周病や虫歯など口腔内の病気にもかかりやすくなります。
2-5.口呼吸のセルフチェック
自分が口呼吸かなと思ったら、口を閉じて鼻で息をしてみましょう。すぐに息苦しさを感じたり口を開けてしまったりする場合は、口呼吸の可能性が高いのです。また、口臭があり口の中が常に渇いているという自覚がある場合も、口呼吸をしている可能性があります。
鼻呼吸のメリットとは?
では次に、鼻呼吸のメリットをご紹介します。鼻呼吸にするだけで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
3-1.健康促進
鼻で呼吸をすると、外気の汚れが鼻の中でブロックされてきれいな空気が体内へ送られます。ですから、風邪をはじめとする感染症にもかかりにくくなるのです。さらに、口の中が常に潤っていますので唾液の洗浄効果によって虫歯や歯周病のリスクも低くなります。
3-2.睡眠の質が改善する
口呼吸をしていると眠っている間に口の中が渇きやすく、夜中に目も覚めやすいのです。また、気道の中に舌が落ちこんで睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクも高まります。鼻呼吸にするだけで、これらのリスクを避けることができるのです。
3-3.美容効果
常に口を閉じていれば、あごの筋肉が発達して引き締まった顔つきになります。また、子どもならば歯並びがよくなるでしょう。
3-4.疲れにくくなる
鼻は本来呼吸をする器官ですので、口呼吸よりも少ないエネルギーで呼吸できます。そのため、疲れにくくもなるでしょう。
鼻呼吸への改善方法
では、どうすれば口呼吸から鼻呼吸へ改善できるのでしょうか?この項では、改善方法の一例をご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
4-1.意識して口を閉じる
鼻に何の問題もない場合は、意識して口を閉じる努力をしましょう。どうしても口を閉じれないという場合は、医療用のテープを口に貼ってしまうという方法もあります。家の中で1時間程度行えば、鼻呼吸のコツもつかめてくるでしょう。家の中に鏡を多めに置いて常に口元をチェックするのもおすすめです。
4-2.鼻詰まりを解消する
鼻が詰まりやすい方は、一度耳鼻咽喉科を受診してみましょう。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を発症している可能性があります。これらも病気は自然治癒する可能性はほとんどありません。たかが鼻詰まりと思わず、きちんと治療を受けましょう。
4-3.口の周りの筋肉を鍛える
口の周りの筋肉が発達していないと、口を閉じ続けるのは大変です。ですから、口の周りの筋肉を鍛えましょう。鏡を見ながら、口を大きく動かして「あ・い・う・え」と発音し、最後に思い切り舌を突き出してください。これは「あいうえべ体操」といい、口の周りの筋肉を鍛える効果があります。1日10回、一ヶ月間続けてみましょう。
4-4.グッズを使う
睡眠中は意識がないので口が開けっ放しになってしまうことが多いのです。睡眠中に鼻呼吸をするためには、テープで口をふさいだりマスクを着けたりしましょう。鼻詰まりがなければ、口で呼吸をしにくくすることで鼻呼吸をしやすくなります。
4-5.自己流の改善方法を続けない
鼻詰まりがあったりかみ合わせが悪かったりすると、自力で鼻呼吸への改善は難しくなります。鼻が詰まって苦しいという方や口がうまく閉じ続けられないという方は、耳鼻咽喉科や歯科医院を受診しましょう。
よくある質問
Q.子どもが口呼吸のようなのですが、どうすれば改善できるでしょうか?
A.鼻詰まりがないのなら、意識して口を閉じさせましょう。あごを鍛えるために硬いものを食べさせるのも効果的です。
Q.鼻で呼吸すると息苦しさを感じます。どうしたらよいのでしょうか?
A.口で呼吸をする方が一時に吸いこめる空気の量が多いので、鼻呼吸をすると息苦しさを感じやすいのです。しかし、ここであきらめてはいけません。息苦しさをがまんして鼻呼吸を続けましょう。そのうち楽になります。
Q.子どもが1歳未満で母乳やミルクを飲みたがりません。どうしたらよいのでしょうか?
A.その場合は、おしゃぶりを与えるといいですね。おしゃぶりをしていると口の周りの筋肉が鍛えられます。
Q.アレルギー性鼻炎の場合は鼻詰まりの改善が難しいような気がしますが、どうすればよいのでしょうか?
A.アレルギー性鼻炎の場合は、アレルゲンを体にとりこまないように注意してください。ハウスダストの場合は掃除をこまめにして、花粉症の場合は、その季節になったらマスクなどで自衛しましょう。
Q.口呼吸を改善するまでにどのくらいの時間がかかるのでしょうか?
A.口呼吸をしてきた時間が長いほど、改善には時間がかかります。一ヶ月~半年かけるつもりで取り組みましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は口呼吸のデメリットと改善方法をご紹介しました。口呼吸のデメリットや鼻呼吸のメリットはあまり知られていません。しかし、口呼吸を長く続けるほど体の不調は起こりやすくなります。口呼吸だと気が付いた時点で改善の努力を始めましょう。