あなたは最近、口内炎や虫歯、口臭など口内のトラブルに悩んでいませんか?歯磨きのときに血が出るという方も多いのではないでしょうか。口の中のトラブルは、口内環境が悪化していることが原因です。口内環境が悪化すると、雑菌や細菌が繁殖しやすくなり歯や体の健康まで損なうことになります。歯は一度失うと戻ってきません。手遅れになる前に対策を行うことが大切です。そこで、この記事では口内環境の基礎知識と口内環境を整える方法をご紹介します。
- 口内環境の基礎知識
- 口内環境が悪化する原因はこれだ!
- 口内環境が悪化すると現れる5つの症状とは?
- こんな症状は要注意!口内環境セルフチェック
- 口内環境を整えるには?改善方法ご紹介!
- 歯医者との上手な付き合い方
- 口内環境に関するよくある質問
この記事を読むことで、口内環境が悪化する原因と対策を知り、トラブルを未然に防ぐことができます。口内炎や虫歯・歯周病を繰り返す方には必ずチェックしてほしい内容です。
1.口内環境の基礎知識
1-1.口内環境とは?
口内環境とは、口の中の状態を言います。口内は体内と同じです。体の調子が悪ければ口内環境にも影響があります。逆に口内環境が悪ければ、体にも悪影響を及ぼしてしまうのです。口は、人が生きていく上で必要な栄養素を取り込む入り口になります。外界からの汚染を直接受けてしまう場所です。口腔(こうくう)内には、もともと口内環境のバランスを保つ常在菌がいます。口内は常在菌のおかげで自己治癒力が高く保たれているのです。口内環境が悪化すると常在菌の力が発揮できず虫歯や歯周病などのトラブルが発生します。
1-2.口内のメカニズムを知ろう
1-2-1.口の働き
口は、消化器官への入り口です。粘膜で覆われた口腔(こうくう)内には、さまざまな役割を担う機能が揃(そろ)っています。食べ物を細かくするために必要な歯、味覚を感じる舌、呼吸など体を正常に保つために必要な働きを持っているのです。また、話す・笑う・歌うなどの感情表現をする重要な役割も担っています。
1-2-2.口腔(こうくう)内の仕組み
口腔(こうくう)内は、くちびる・舌・上顎・下顎・歯・歯肉・唾液腺・ほお、また、これらを動かす筋肉や顎関節などから構成されています。消化器の入り口として、食べ物を飲み込みやすいように歯で噛(か)み砕くのが咀嚼(そしゃく)です。唾液と食べ物を混ぜ合わせ、食道へと送り出す働きを嚥下(えんげ)と言います。舌の表面がざらざらしているのは粒粒の突起が無数にあるからです。この突起は乳頭と言われ、味を感じる細胞があります。さまざまな役割を果たすため口腔(こうくう)内の組織が連携して働いているのです。
1-3.口内細菌
大人の口の中には、1000~2000億個の細菌が生息しています。歯を磨かない人では、6000億~1兆個もの細菌が生息しているのです。この数は、こう門の細菌数より多いとも言われています。そう、お口の中は細菌でいっぱいなのです。
1-3-1.口内細菌の種類
人の口に潜む口内細菌の種類は、700種類を超えます。口内細菌の中には、歯周病や虫歯を引き起こす予備軍も潜んでいるのです。口内は、腸内と同じように善玉菌と悪玉菌が存在します。善玉菌は、口腔(こうくう)内のバランスを保つ常在菌です。悪玉菌は、歯周病菌や虫歯菌・カンジタ菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌などの細菌を指します。口腔(こうくう)内のバランスが崩れると悪玉菌が増え、免疫力が低下し病気を引き起こすのです。
1-4.唾液の重要性
唾液は、水・電解質・唾液アミラーゼ・ムチン・リゾチーム・抗体(IgA)などの成分で構成されています。アミラーゼは炭水化物を分解する酵素で、リゾチームは微生物を分解する酵素です。顎下腺(がくかせん)・舌下腺(ぜっかせん)という口腔(こうくう)底の部分にある唾液腺から出てきます。唾液は、消化液の1つです。食べ物を溶かす作用と病気の原因となる細菌を洗い流す役割があります。また、細菌繁殖を抑え口腔(こうくう)内を健康に保ち、虫歯の進行を抑える作用も持っているのです。口腔(こうくう)内の健康と唾液には深いかかわりがあります。
1-4-1.唾液が減るとどうなる?
唾液が減ると、善玉菌が減り口内環境のバランスが崩れます。細菌が繁殖し口臭や虫歯・歯周病に悩まされる原因となるのです。唾液がないと食べ物が飲み込みづらくなり、味覚も感じづらくなります。
1-5.口内環境の重要性
外界からさまざまな細菌が入ってくる口内は、自己免疫力を高める常在菌のおかげで清潔に保たれていることは先にもお話ししました。昔から「体の健康は、歯の健康から」と言われているように、口内環境の悪化は体の健康にも影響を与えてしまいます。歯を健康に保つには、口内環境のバランスを保つことが最重要です。現在の口内環境が、あなたの10年後、20年後の健康を作ると言っても過言ではありません。
2.口内環境が悪化する原因はこれだ!
口内環境が悪化する原因をまとめました。口臭が気になる方、口の中がネバネバする方は、必ずチェックしましょう。
2-1.口内環境が悪化する5つの原因
2-1-1.口内環境はストレスの影響を受けやすい
体にさまざまな不調をもたらすストレス。多くのストレスを抱える現代人は、ストレスが原因で口内環境も悪化していると言います。仕事や家庭内で強いストレスを受けると唾液が減りドライマウスという症状を引き起こすのです。よく「緊張すると口が渇く」という人がいますよね。唾液が減ると悪玉菌が増殖し、口内環境が悪化、口臭やねばつきの原因となるのです。
2-1-2.口内環境のバランスを崩す食べ物・飲み物
やわらかい食べ物ばかり食べていると、咀嚼(そしゃく)回数が減りあごの発達が不十分になります。唾液の分泌も減り、食べ物と唾液を混ぜ合わせることもできなくなるのです。アルコールや辛(から)い食べ物は刺激物となり口腔(こうくう)粘膜に悪影響を与えます。熱すぎる食べ物も粘膜を傷つける原因です。粘膜が傷つくと抵抗力や回復力が弱まり、悪玉菌の影響を受けてしまいます。
2-1-3.間違った口内ケア(オーラルケア)
口内環境をよくしようとして、1日数回の歯磨きやうがいなどのオーラルケアをしている人は多いでしょう。しかし、最近間違った方法で口内ケアをしている人が増加しています。たとえば、マウスウォッシュなどの洗口液は、口内の粘膜が荒れる原因です。マウスウォッシュに含まれる香料で口の中がスッキリしたように感じますが、実は粘膜を傷つけ必要な常在菌まで殺してしまいます。また、歯ブラシが硬すぎると、歯肉や口内を傷つけてしまうのです。歯茎が弱っている人はやわらかめの歯ブラシを使用してください。間違った口内ケアは、口内環境が悪化する原因になります。
2-1-4.喫煙が口内環境にもたらす悪影響とは?
タバコに含まれるニコチンやタールは刺激物です。アルコールと同様、口内の粘膜を傷つけます。歯に付着したタールは歯磨きだけでは取り除けません。タールの付着した歯は、茶色く変色します。変色した歯を気にして、歯ブラシで強くこすり落とそうとする方もいるでしょう。しかし、強い力で歯磨きすると歯のエナメル質を傷つけ歯茎が傷ついてしまうのです。また、タバコの煙は歯茎の血流障害を引き起こし歯周病を誘発します。
2-1-5.生活習慣がもたらす悪影響
運動不足や睡眠不足など、乱れた生活習慣は口内の環境も悪くなります。睡眠不足は、疲れやストレスの原因です。食生活が不規則な人は、夜食を食べてすぐ寝てしまうこともあるでしょう。しかし、睡眠中は唾液の分泌量が減り、口内の細菌が最も増殖しやすい時間です。夜寝る前に食事を取ると食べかすが細菌のエサとなり、虫歯や歯周病の原因になるでしょう。食事は、遅くても就寝1時間前には済まし、歯磨きをしましょう。
忙しく食事をゆっくり取る時間がない方は、どうしても早食いになりがちです。よく噛(か)まずに食べるため唾液が十分に分泌されず、細菌の繁殖を防ぐことができません。また、運動不足により心肺機能が落ちると、血流の流れが悪くなり免疫力が低下します。免疫力が低下すると、口内の悪玉菌が勢力を伸ばしさまざまな不調を引き起こしてしまうのです。
2-2.アルカリ性、酸性の食物と口内環境の関係
私たちが口にする食品には、酸性食品と呼ばれるものがあります。あなたは、日々口にする食べ物のpHを考えたことがあるでしょうか?絵本やアニメでは、虫歯菌が歯を削っているところが描かれますよね。しかし、実際は虫歯菌が歯を削るのではなく、菌が作り出す酸で歯が溶けているのです。歯は酸に弱く、酸の影響を長時間受けるともろくなります。虫歯菌がいなくても酸性食品を摂(と)ることで歯はミネラルが溶け出し、やわらかくなってしまうのです。やわらかい歯を歯ブラシでこするとすり減り「酸蝕歯(さんしょくば)」と呼ばれる状態になります。
2-2-1.酸の多い食品とは?
私たちが何気なく口にする食べ物には多くの酸が含まれています。たとえば、体にいいと言われるワイン・酢・フルーツ・スポーツ飲料です。酸性食品には歯を溶かすのに十分な酸が含まれています。酸の多い食品を、発育途中の子供が常用すれば、大人より強い悪影響を受けてしまうことでしょう。
ここで、酸の多い食品をご紹介します。
- 炭酸飲料
- スポーツドリンク
- レモンなどの柑橘(かんきつ)類
- マヨネーズやドレッシング
- ワイン・ビール・酎ハイ
- 砂糖などの甘いもの
上記の食品をよく食べるという方は、歯がもろくなっている可能性が大です。やわらかくなっている歯の表面を歯磨きで削り落としている恐れもあるでしょう。心当たりのある方は、歯の状態をよく観察してみてください。
2-2-2.酸性食品に対する唾液の働き
唾液には、酸性食品に含まれる酸を中和する作用があります。酸で溶けた歯の表面を唾液中のカルシウムで修復することができるのです。酸性食品を摂(と)るたびに、歯の表面は溶けますが、唾液がその都度修復しています。唾液が少なくなるということは、歯の修復ができなくなるということなのです。
2-2-3.アルカリ性の食品とは?
現代の欧米化した食生活では、アルカリ性食品の摂取量が不足していると言われています。積極的にアルカリ性食品を摂(と)ることは、口内環境だけではなく体全体のバランスを整えることにもつながるのです。アルカリ性食品を見てみましょう。
- わかめやひじきなどの海藻
- キノコ・干ししいたけ
- 大豆
- 野菜(ほうれん草・ごぼう・サツマイモ・里芋・セロリ)
- 梅干し
- マグロ・タコ
- 玄米
梅干しは、酸っぱいので酸性食品と思われがちです。しかし、唾液の分泌を促進する「間接清掃性食品」と呼ばれています。唾液の分泌を促すことで、口内を酸性化することを抑えてくれるアルカリ性食品です。梅干しや酢の物は、唾液が少なくなったと感じたら積極的に食べましょう。玄米やタコ、干ししいたけなど、アルカリ性食品にはよく噛(か)んで唾液を促す食べ物が多いですよね。酸性食品を口にするときは、アルカリ性食品と一緒に食べるなど、バランスのいい食事を心がけてください。
2-3.口内環境の悪化を放置するとどうなる?
口内環境の悪化を放置すると、口内のトラブルだけに収まらず体調まで崩してしまいます。虫歯や歯周病、口内炎に悩まされるだけではなく、腸内のバランスが崩れ腹痛やウィルスにより風邪を引き起こす原因にもなるのです。また、口臭の発生や歯がボロボロになるなど見た目の清潔感もなくなります。
2-4.口内環境が悪くなりやすい人の特徴
口内環境が悪化しやすい人にはいくつかの共通した特徴があります。
- よく噛(か)んで食べない
- 甘いものや刺激物が好き
- ストレスが多く、タバコを吸う
- 水分をあまり摂(と)らない
- 歯磨きをしない
- マウスウォッシュなど過度な口内ケアをする
- 歯を磨く力が強い
- 夜寝る前に夜食を食べる
- 口で呼吸する
- インスタント食品をよく食べる
- 動物性脂質の多い食事
- 睡眠不足
上記のような生活習慣を続ける人は、口内環境が悪化しやすい状態です。体の免疫力も落ちやすく、口内の自己治癒力も低くなるでしょう。一時的に口内環境が悪化しても、自分で再生・修復する力が強ければ細菌の繁殖を防ぐことができます。細菌を抑制するためにも、規則正しい生活とバランスのいい食生活、正しい口内ケアを心がけましょう。
2-5.子供の口内環境が悪化する原因
生まれたばかりの赤ちゃんは、口内に生息する虫歯菌を持っていません。虫歯菌は、生長する過程で、母親や周囲の大人から感染していくものなのです。大人と同じお箸で子供に食べ物を与えていませんか?子供は3歳くらいでやっと口内環境が完成すると言われています。3歳までは、口移しや大人の箸で食べ物を与える行動は控えましょう。また、乳歯の虫歯は、永久歯に生え変わるから治療しなくていいと思っている方も多いです。乳歯の時期の虫歯は永久歯に生え変わるときにも悪影響を与えます。乳歯のころからきちんと治療し、正しい歯磨き習慣を付けることは、親の役割です。初期虫歯の発見や歯磨きの指導をしてもらえる歯医者の定期検診を受けましょう。子供の歯を健康に保つためにも歯磨き指導には、親も一緒に参加してください。
2-5.高齢者・妊娠中の口内環境について
妊娠すると女性ホルモンの影響で唾液の分泌量が減り、口内環境のバランスが崩れてしまいます。これにより、歯周病や虫歯のリスクが高まるのです。妊娠中、口の中のねばつきを感じたときは、水分を取り唾液の分泌を促すものを食べましょう。また、高齢者も加齢が原因で唾液の分泌量が減ります。免疫力の低い高齢者の口内環境が悪化すると、細菌が増殖し、感染症や肺炎を引き起こしてしまうでしょう。生活習慣病や歯周病の原因にもなります。高齢者は、入れ歯やさまざまな治療の被(かぶ)せものも多いです。自分でケアすることも難しくなります。口内の健康を保つことは、体の健康を保つことだと考え、歯医者の定期検診を受けましょう。
3.口内環境が悪化すると現れる5つの症状とは?
口内環境が悪化するとどうなるのでしょうか?現れる症状を詳しくご紹介します。
3-1.口臭
ストレスや生活習慣の乱れから、唾液の分泌量が減り口内環境が悪化します。唾液で雑菌の繁殖を抑えることができず、歯に溜(た)まった歯垢(しこう)をエサに増殖を続けるのです。増殖した雑菌や歯磨き不足で残った食べかすは悪臭を放つようになります。これが口臭の原因です。
3-2.口内炎
口の中にできる腫れや炎症を口内炎と言います。口内炎は、食事や話をするたびに痛み、非常に不快です。口内炎になる原因は、生活習慣の乱れストレスにより、免疫力が低下し口内環境が乱れてしまうことにあります。加齢やホルモンバランスの乱れで唾液が少なくなることも、口内炎ができる原因です。
3-3.虫歯
虫歯は口内環境の悪化で最も悩まされる症状です。歯磨き・うがいをしないなど、口内ケアを怠ると口内で細菌が繁殖し虫歯菌が増殖します。酸や糖分の多い食事を摂(と)ることで、少量の歯垢(しこう)細菌が繁殖し虫歯になりやすい環境を作ってしまうのです。
3-4.歯周病
歯周病は、口内で繁殖した細菌により、歯の組織が破壊される慢性炎症性疾患です。成人の約8割が歯周病を患っているというデータもあります。最近では、若年層にも歯周病が広がり、日本人が歯を失う大きな原因となっているのです。歯周病が悪化すると、歯がぐらぐらする、歯茎がぶよぶよするなどの症状が現れます。初期段階では自覚症状がないため、発見が遅れてしまうことも多いです。
3-5.口内環境が悪化することで現れるその他の症状
男女ともに、歯の色を気にしている方は多いでしょう。口内環境が悪化すると歯が黄色や茶色になり見た目が悪くなります。また、口内環境の悪化で引き起こされる歯周病は、歯並びにも影響するのです。歯を支える組織が弱くなっている状態は、歯も動きやすくなっています。大人になってから歯並びが悪くなった方は早めに対策が必要です。放置すると噛(か)み合わせにも影響が出てしまうでしょう。
4.こんな症状は要注意!口内環境セルフチェック
4-1.口内環境セルフチェックをしてみよう!
口内環境が悪くなっているかどうか、自分ではなかなか気づきづらいものです。セルフチェックしてみましょう!
- 虫歯がある
- 歯磨きのとき出血や痛みがある
- 虫歯治療を途中で辞めてしまった
- 歯茎に腫れがある
- 歯の間や根元に歯垢(しこう)が溜(た)まっている
- 口の中がネバネバする
- 歯の一部が黒く(茶色)なっている
- 舌に白いものが付いている
- 口の中が乾燥する
- 歯茎が痩せ、歯が長くなってきた
- 口臭がある
- 硬いものが噛(か)みづらい
- 歯がぐらぐらする
- 歯茎を押すとぶよぶよする
あなたはいくつ当てはまりましたか?自覚症状がなくても、上記の項目に1つでも当てはまる方は、口内環境が悪化しています。歯磨きをきちんと行っているつもりでも、歯磨き方法を間違っていることもあるのです。虫歯の治療や歯垢(しこう)除去は、歯磨きだけでは改善できません。口内環境を改善するためにも、虫歯や歯周病を歯医者で治療し正しい口内ケアの指導を受けましょう。
4-2.こんな症状は要注意!
”歯がぐらぐらする””歯茎がぶよぶよする”などの症状は、歯周病が進行している可能性があります。歯周病は、歯を支える組織が破壊される恐ろしい病気です。静かに進行し、悪化すると歯を失ってしまいます。また、糖尿病や狭心症・心筋梗塞などの心疾患を起こす原因とも言われているのです。妊娠中は、胎児への悪影響も気を付けなければなりません。たかが歯のトラブルと思わず、早めに歯医者を受診してください。
4-3.舌が白いのはなぜ?
舌が白くなるのは舌苔(ぜったい)と呼ばれる舌の汚れです。舌の老廃物や食べ物のカスがこびりつき口臭の原因になります。口呼吸で口内が乾燥する状態も舌苔(ぜったい)ができやすくなる要因です。舌苔(ぜったい)は専用の舌ブラシを使い舌磨きを行いましょう。舌磨きは磨きすぎると粘膜を傷つけてしまいます。1日1回程度で十分です。
5.口内環境を整えるには?改善方法ご紹介!
5-1.オーラルケアについて
オーラルケアとは、口内環境を整えるために行うお手入れのことです。歯磨きやうがい、舌磨きや歯医者でのメンテナンスもオーラルケアに含まれます。オーラルケアは、口の中の状態をよくするだけではなく、体の健康にもいい影響を与えるでしょう。毎日歯磨きしているから必要ないと思っている方は要注意です。歯磨きをきちんと行っているはずなのに、日本人の8割が歯周病を患っています。あなたも歯周病予備軍になっている可能性が十分あるのです。これを機に、オーラルケアの方法を見直してみましょう!
5-2.正しい歯磨きの方法とは?
5-2-1.歯ブラシの選び方
正しい歯磨き方法はまず、歯ブラシ選びからです。歯ブラシは、自分の歯や歯肉に合ったものを選んでください。歯ブラシのヘッドは細かいところまで届く小さめがおススメです。毛の硬さは硬すぎないものを選びましょう。最近は、歯ブラシの毛先が山形になっているものが多く出ています。しかし、毛先がギザギザになっているものは、歯間の汚れが磨きづらく歯垢(しこう)を残してしまうのです。毛先はまっすぐのものを選びましょう。歯周病の方は、やわらかい毛先の歯ブラシを選んでください。自分では磨き残しが心配という方は、電動歯ブラシも便利です。
5-2-2.正しい磨き方
歯ブラシは、歯を1本1本磨くイメージで細かく動かしましょう。歯ブラシの毛先は歯にまっすぐ当て、歯の向きに合わせて歯ブラシの角度を変えます。歯磨きに使う力は軽めにしてください。刃先が広がるくらい力を入れると歯茎を傷つけ歯のエナメル質を剥(は)がす原因になってしまいます。歯並びが悪い方は、歯の間を念入りに磨きましょう。
5-2-3.歯磨きするベストタイミングは?
オーラルケアを意識していると食事後、すぐに歯磨きをしたくなります。しかし、食事後の口内は、細菌が作り出す酸により酸性状態です。唾液により中和するには、食後30分~40分ほど時間がかかります。酸性状態のときに歯磨きすると、歯のミネラルが溶けやすくエナメル質が傷ついてしまうのです。1日3回食事から40分後に歯磨きをするといいでしょう。
5-3.唾液を増やす生活習慣
口内環境を正常に保つためには唾液の働きが不可欠です。日々の生活の中で唾液の分泌を増やす方法をご紹介します。
5-3-1.水分はこまめに取る
唾液は1日1.5リットル~2リットルもの量を分泌します。唾液の分泌には、多くの水分が必要です。水分補給はこまめに行いましょう。
5-3-2.食事の咀嚼(そしゃく)回数を増やす
咀嚼(そしゃく)回数を意識的に増やすことで、あごの動きが活発になります。あごを動かすことにより唾液腺が刺激され、唾液の分泌量も多くなるのです。また、咀嚼(そしゃく)回数が多いと、口の中の細菌が洗い流し口内環境のバランスを保つことができます。
5-3-3.唾液腺をマッサージしよう
唾液腺は、下顎の顎下腺(がくかせん)と舌下腺(ぜっかせん)のほか、耳の下の耳下腺(じかせん)にもあります。耳下腺(じかせん)で作る唾液はサラサラとしていて、細菌の繁殖を抑える作用が強いです。親指以外の4本の指を使い、耳下腺(じかせん)をくるくるとマッサージしましょう。耳下腺(じかせん)は、奥歯の上のあたりにあります。
5-4.口呼吸を改善しよう
口呼吸をする癖がある方は、要注意です。口呼吸は口内が乾燥する原因になります。口内が乾燥すると、細菌が繁殖し歯垢(しこう)も落ちづらくなるのです。特に、空気が乾燥する冬はインフルエンザ菌などが多くなります。口から直接取り込んだ菌は乾燥した喉や口内で繁殖しやすくなるのです。呼吸は口ではなく鼻で行いましょう。
5-5.気を付けたい食べ物とは?
口内環境を正常に保つためには、酸性食品を常用しないことです。酸性食品を食べるときは、アルカリ性食品と一緒に摂(と)りましょう。口内が乾いていると感じた際には、キシリトール入りのガムを噛(か)むと唾液の分泌を促します。キシリトールは虫歯予防にも効果的です。ガムは無糖のものを選んでください。
5-5-1.歯周病に効果のある乳酸菌とは?
最近、LS1菌と言う歯周病に効果的な乳酸菌サプリが販売されているのをご存じでしょうか。乳酸菌が働くのは腸の中だけではありません。 LS1菌という乳酸菌は、口内の環境を整え、悪玉菌の増殖を抑える作用があります。LS1菌は唾液にも存在し、歯周病菌が減少する効果の高い菌です。LS1菌を使った口内ケア商品も複数販売されていますので試してみてください。
5-6.うがい・液体歯磨きで気を付けたいこと
液体歯磨きやマウスウォッシュは、手軽にスッキリ感が得られるため人気ですよね。しかし、殺菌効果の高いマウスウォッシュを使うことで口内の善玉菌まで死滅してしまいます。マウスウォッシュは避けたほうがいいでしょう。うがいは、薬用もしくは食用の重曹を水に溶かしたものを使うといいです。アルカリ性の重曹は、虫歯や歯周病の予防に効果があり、口臭も防ぎます。
6.歯医者との上手な付き合い方
お口の健康を長く保つには、歯医者の検診を受けることが最も安心です。歯医者との上手な付き合い方をご紹介します。
6-1.歯医者へ行くタイミング
歯医者と聞くと、苦手な方も多いのではないでしょうか?治療の痛みや長い治療期間を想像し、緊急症状に陥るまで放置してしまう人も少なくありません。虫歯や差し歯が取れたときや親知らずの痛みなど、我慢できない症状になりやっと駆け込む人が非常に多いのです。症状が悪化してからでは、痛みを伴う治療も増えます。これでは歯医者を上手に活用しているとは言えません。
6-1-1.虫歯じゃなくても歯医者に行こう!
以前から日本人は欧米人に比べて歯に対する意識が低いと言われてきました。欧米では白く輝く歯が美人の条件です。最近ではようやく日本でも歯に対する意識が高くなり、歯の見た目を整えるホワイトニングや審美治療を行う人が多くなっています。同時に、治療の負担とストレスを軽減するため、痛みの少ない無痛治療や予防歯科・審美歯科に力を入れる病院が増えてきました。歯医者は虫歯を治療するところというイメージはもう、過去のことです。 1つの院内に、一般歯科治療のほか、虫歯の早期発見をする予防歯科・小児歯科・審美歯科・口腔(こうくう)外科など幅広い診療ができるよう完備した歯医者もあります。虫歯がないことはもちろん、白くキレイに並んだ口元で笑う笑顔は、最高に魅力的です。どんなに美人でも歯が汚ければマイナスイメージしか与えません。歯の美意識が高まった今、美容室やエステに通う感覚で、歯医者に通う若い人たちが増えているのも納得でしょう。
6-2.歯医者の定期健診とは?
物心ついたときから行っていた歯磨き・・・あなたは正しい方法をご存じでしょうか?自宅で行うオーラルケアは、歯磨きが基本です。歯医者では、口内を健康に保つために必要な歯磨きのブラッシング指導も行います。歯医者で行う定期検診は、虫歯や歯周病の確認、歯のクリーニングなど、歯や口内に異常がないかどうかチェックすることが目的です。歯や口の中のトラブルを予防することができます。
6-3.プラークコントロールについて
歯に付着した歯垢(しこう)は、プラークと言います。プラークコントロールとは歯に付着した歯垢(しこう)を減らすことです。プラークは細菌のエサとなり虫歯や歯周病を引き起こします。プラークコントロールすることで、虫歯や歯周病を予防することができるのです。デンタルフロスを使い歯と歯の間の歯垢(しこう)をしっかり落とすことをフロッシングと言います。フロッシングや歯間ブラシを使用してプラークを減らすこともプラークコントロールです。自分では落としきれないプラークは、歯医者でもキレイに除去してもらうことができます。
6-4.プロフェッショナルの口腔(こうくう)ケアの重要性
「虫歯でもないのにどうして歯医者に行く必要があるのか?」
このような疑問を感じている人もいるでしょう。歯周病や虫歯の初期段階では、多くの場合自覚症状がありません。痛みや違和感を抱いて歯医者へ駆け込んだときには手遅れになってしまうことも多いのです。定期検診を受けていれば、口内の異常を早期発見できます。また、治療も早く終わるでしょう。定期検診の頻度は、3か月~半年に1回でいいのです。半年に1回通うだけで、口内の異常を見つけることができるのですから、虫歯が悪化し数か月治療に通うよりは断然、楽だと思いませんか?
6-5.歯医者選び5つのポイント
歯医者を探すときは「先生が優しい方がいいな」「痛くない治療をやってほしい」など、さまざまな希望があり、慎重になりますよね。そこで、歯医者選ぶときにチェックしたい5つのポイントをご案内しましょう。自分の状況や希望に合わせ、選んでみてください。
6-5-1.治療前の説明を丁寧に行う
歯医者の治療は、どんなことが行われるか不安になりますよね。自分の症状がどのような状態なのか、どのような治療法があるのかを事前にきちんと説明してくれる病院に通いましょう。患者とのコミュニケーションを大切にしている歯医者では、事前のカウンセリングに十分な時間を取ります。歯は1度削ると元には戻りません。何も説明がなくいきなり歯を削るような場合は、治療を止め納得できるまで説明してもらいましょう。また、料金がわかりやすく保険適用外診療に対して事前説明を十分に行うかどうかも重要です。
6-5-2.通いやすいかどうか?
虫歯や歯周病などの治療では、歯医者に通う回数も多くなります。自宅や職場から通いやすいかどうか確認しましょう。また、仕事をしながら通えるか営業時間もチェックしてください。公共機関が多く、アクセスのいい場所にある歯医者は便利です。
6-5-3.清潔な院内と設備が充実している歯医者
歯の治療を行う場所では、衛生面が気になりますよね。治療器具の消毒はもちろん、院内の掃除がきちんと行われているかどうか確認しましょう。また、最新の治療や検査を受けるには設備が整っている歯医者を選んでください。歯医者の施設や設備はホームページでチェックできます。
6-5-4.予防歯科に力を入れている歯医者
口内環境を保つためには、治療より予防が大切です。虫歯にならなければ治療も必要ありません。虫歯を治療したあと、予防が不十分だとすぐに虫歯になってしまうのです。信頼できる歯医者では、治療だけではなく予防にも力を入れています。ブラッシング指導や定期検診を積極的に行う歯医者に通いましょう。
6-5-5.スタッフ・病院の対応がいい
歯科治療は予約優先で診療することが一般的です。予約をしているにもかかわらず、説明なく20分以上待たされる病院は患者の時間を大切に考えていないということになります。また、予約時の電話対応もいい病院か見極めるポイントです。どんな企業も受付業務は会社の顔になります。予約をするときの対応がいい病院を選びましょう。スタッフがイライラしている病院は、スタッフ教育が行き届いていません。患者としてはどんなに腕が良くても、気持ちよく治療を受けられる病院を選びたいものです。
7.口内環境に関するよくある質問
7-1.朝の口臭が気になります。予防する方法はありますか?
まずは、歯磨きを正しい方法で5分以上かけて隅々まで行いましょう。歯垢(しこう)が気になる場合は、歯間ブラシやデンタルフロスを使い掃除してください。舌ブラシも口臭予防になります。歯磨きだけでは取りのぞけない歯石は、歯医者で除去してもらう方法が最も効果的です。毎日の生活では、唾液を増やすためにも朝食をしっかり摂(と)り咀嚼(そしゃく)回収を増やしてください。
7-2.歯茎がかゆいです。かゆくなる原因と対策を教えてください。
歯茎がかゆくなる原因は、虫歯や歯周病です。また、歯垢(しこう)が原因で歯肉炎になっている可能性もあります。歯磨きを丁寧に行い、 歯医者で歯石を除去してもらうと症状が和らぐでしょう。食べ物のアレルギーやストレスの可能性もあるので、早めに病院を受診してください。
7-3.歯磨き粉を選ぶときに注意すべきことはありますか?
歯磨き粉はフッ素が入っているものを選ぶといいでしょう。研磨剤入りのものは着色汚れに効果があります。しかし、歯のエナメル質を傷つけ削ってしまうため安易に使うのは危険です。知覚過敏の原因にもなりますから注意してください。歯医者で購入できるフッ素入り・低研磨の歯磨き粉を選びましょう。
7-4.冷たいものや熱いものを口にすると歯がしみます。虫歯でしょうか?
歯がしみる原因は、虫歯や知覚過敏を引き起こしている可能性があります。また、歯周病が関係していることも考えられるでしょう。早めに歯医者を受診してください。
7-5.歯周病の初期症状を教えてください。
歯周病は”静かなる病気”と呼ばれるほど自覚症状がありません。自覚症状が起きたときは歯周病が進行している状態です。歯磨きのときに出血する・冷たいもの(熱いもの)がしみる・硬いものを噛(か)めないなどの症状を感じたときはすぐに病院を受診してください。
まとめ
いかがでしたか?この記事では、口内環境を正常に保つための基礎知識や改善方法について解説しました。口の中の健康は体の健康に直結します。いつまでも健康でいるためにも、歯磨きを丁寧に行い、歯医者の定期検診を活用しましょう!