味覚障害の症状・原因・治療法・セルフケアについて徹底解析!

「ご飯を食べても味がしない」「何を食べても嫌な味がする」などの症状は、味覚障害の可能性があります。味覚は五感の1つで、食べものの味を楽しむために必要な感覚です。味覚障害になれば、本来の味と違う・味がわからないなどさまざまな不調が起きてしまいます。おいしいご飯でも楽しめなくなってしまうのです。そこで、本記事では、味覚障害の基礎知識・種類や症状・原因・治療法・セルフケアのポイントなどについて詳しく説明します。

  1. 味覚障害の基礎知識
  2. 味覚障害の種類・症状
  3. 味覚障害の原因と考えられる病気
  4. 味覚障害の治療について
  5. 味覚障害のセルフケア
  6. 味覚障害にかんしてよくある質問

この記事を読むことで、味覚障害について詳しく知ることができ、治療のポイントがわかります。悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

1.味覚障害の基礎知識

症状をやわらげるためには、味覚障害の基礎知識を知ることが大切です。定義・メカニズム・なりやすい人・患者数について詳しく説明します。

1-1.定義

味覚障害は、味覚減退・味盲(みもう)・味覚過敏とも呼ばれています。味を違って感じる・味に過敏になるなど、味覚の異常のことです。一時的な症状として起こることが多く、さまざまな原因が挙げられます。

1-2.メカニズム

口にした食べものは、唾液によって物質が溶けます。舌の味蕾(みらい)と呼ばれる部分に入り込み、味蕾(みらい)の中の味細胞が味覚を捉えるのです。そして、味覚神経をとおって大脳へ信号を送り、味を判断する大脳の味覚中枢が信号を受信→味を判断します。味覚障害は、伝達経路のどこかが故障することで起こる症状です。

1-3.なりやすい人、患者数

味覚障害は年齢・性別、生活習慣、病気・ストレスの影響を受けやすいといわれています。不規則な生活習慣を送っている・過剰なストレスを感じる・栄養不足になる・多数の薬を服用しているなどが味覚障害になりやすい人といえるでしょう。現代病ともいわれている味覚障害は、年々患者数が増加しています。1990年~2004年の間に、およそ10万人増え、24万人にまでおよんでいるのです。年齢的には50~70歳に多く見られ、女性の発症率が高い傾向があります。

2.味覚障害の種類・症状

味覚障害になっているかどうか、主な症状を確認していきましょう。種類についても詳しく説明します。

2-1.主な症状

味覚障害の主な症状は以下のとおりです。

  • 味がまったく感じられない
  • いつもより味が薄く感じる
  • 本来の味とは違う、嫌な味がする
  • 何も食べていないのに口の中で苦い・甘い・渋い味がする
  • ある味だけがわからない(甘みはわかるが、塩味がわからないなど)
  • 濃い味だとわかるのに薄い味がわからない

2-2.種類

起きている症状によって、主に5つの種類にわけることができます。

  • 味覚減退:味が薄く感じられる
  • 味覚消失:味がまったくわからなくなる
  • 異味症:本来の味とは違う、嫌な味がする
  • 解離性味覚障害:甘みだけが感じられない
  • 自発性異常味覚:何も食べていないのに、口の中で苦い味がする

3.味覚障害の原因と考えられる病気

味覚障害が起きる原因とは、一体どのようなものがあるのでしょうか。原因をきちんと突き止めなければ、正しい対処・治療法ができません。主な原因・考えられる病気・放置の危険について詳しく説明します。

3-1.主な原因

味覚障害でよく見られる原因は、亜鉛不足と薬剤性です。亜鉛は味覚において必要不可欠な成分であり、味蕾(みらい)の中にある味細胞の再生を促します。体内の亜鉛が不足すると、味細胞の再生が追いつかずに味覚障害が起きるというわけです。また、病気の治療のために服用している薬が原因になる可能性もあります。降圧利尿剤・抗生物質・抗ヒスタミン剤などの薬が、味覚障害を起こす原因の1つです。ほかにも、糖尿病・胃腸疾患などの全身の病気、口腔(こうくう)の病気、うつ病・ストレスなどの心因性が挙げられます。

3-2.考えられる病気

全身・口腔(こうくう)の病気が味覚障害と関係している可能性があります。味覚障害と関連している全身の病気は、糖尿病・肝臓疾患・腎臓病・胃腸疾患などです。口腔(こうくう)の病気は、舌に痛みを感じる舌痛症、虫歯・歯周病などの病気が考えられます。虫歯や歯周病になると、口腔(こうくう)環境が悪くなっている証拠です。その結果、舌に苔(こけ)が生えてきます。味蕾(みらい)は舌にあるため、苔(こけ)が生えてしまうと味を感じなくなるのです。

3-3.放置するとどうなるか

味覚障害を放置すると、味がまったくわからなくなります。その結果、食事が楽しくなくなるでしょう。何を食べても味を感じないことから、食欲が減退したという方もいます。また、治療開始時期が遅くなるほど、症状が緩和するまで長い時間がかかるのです。治療期間が長くなれば、費用も高くなります。

4.味覚障害の治療について

味覚障害の症状はできるだけ早めに治さなければなりません。病院へ行くべき症状・歯科での治療・検査や診断方法などについて詳しく説明します。

4-1.病院へ行くべき症状とは

味覚障害が長く続いている・体の機能に異常がある場合は病院を受診してください。味覚障害以外の症状が同時に現れるのは、ほかの病気が関係している可能性があります。放置すると、余計に症状が悪化してしまうので要注意です。

4-2.何科へ行けばいいか?

味覚障害は、歯科もしくは耳鼻咽喉科を受診することになります。味覚は耳・鼻が関連している印象が強いため、耳鼻科を受診する方が多いでしょう。歯科の中にも、味覚を対象に治療を行っているところがあります。しかし、すべての歯科・耳鼻咽喉科が味覚障害に対応しているとは限りません。味覚障害の処置を行っている病院を選びましょう。

4-3.歯科での治療について

虫歯・歯周病・口腔(こうくう)乾燥などの歯科疾患が味覚障害の原因の場合もあります。歯科での治療は、口腔(こうくう)環境の改善が中心になるでしょう。虫歯・歯周病となる菌を殺菌するための歯石除去などを行います。口腔(こうくう)環境をしっかり確認したうえで治療を始めることが大切です。静岡歯科では、きちんと原因を調べ、症状に合った治療を行っています。気軽にお問い合わせください。

4-4.検査・診断方法

味覚障害の検査方法は、ろ紙ディスク・電気味覚・血液検査の3つが挙げられます。それぞれの特徴について以下にまとめてみました。

  • ろ紙ディスク:舌の複数の場所に味を浸した“ろ紙”をのせて、何の味か調べる方法。味覚障害の種類がわかる
  • 電気味覚:舌まわりの数か所に弱い電流を流す方法。舌・耳・そのほかの神経が原因なのかがわかる
  • 血液検査:採血によって血液中の亜鉛濃度を測定する方法。亜鉛不足による味覚障害か判断できる

4-5.治療方法

治療方法を大まかにわけると、「体の機能に異常がある場合」と「亜鉛不足によるもの」の2種類があります。体の機能に異常がある場合は、内科・外科を受診して原因を突き止め、薬物療法などで改善することになるでしょう。ほとんどの味覚障害は亜鉛不足によるものとなるため、亜鉛を補います。

4-6.手術・入院費用について

味覚障害の原因に合った治療を行いますが、重症の場合は手術を行うことがあります。たとえば、歯周病による味覚障害の場合です。歯周病は歯茎が下がり、歯の神経があらわになってしまいます。そのため、歯の神経がダメージを受けて穴があいてしまうのです。あいてしまった穴をふさぐ手術や根管治療が行われる場合、費用は10,000円以内(保険適用)で済むこともあります。ただし、治療終了までに通院が必要となるため、数万円はかかるでしょう。入院する場合は1日、歯科の中には日帰り可能なところもあります。

4-7.投薬について

味覚障害に使われる薬は、ほとんどが亜鉛製剤です。亜鉛不足によって引き起こされることが多いため、亜鉛製剤を服用しながら食事療法を行います。念のためにも、薬物療法を行う場合はどんな薬が使われ、どんな効果があるのか、きちんと医師からの説明を受けましょう。

4-8.注意点

味覚障害の症状をやわらげる薬を服用しても、基盤となる生活が荒れていては効果が期待できません。栄養バランスの整った食事・睡眠・毎日の歯磨きによる口腔(こうくう)ケアなど、生活でできることを徹底していきましょう。規則正しい生活を送っているからこそ、亜鉛の吸収がよくなるのです。

5.味覚障害のセルフケア

味覚障害の治療は、歯科・耳鼻咽喉科で行うだけではありません。セルフケアも大切なポイントです。食事・栄養、サプリメント、NG行為などについて詳しく説明します。

5-1.食事・栄養

偏った食生活や食品添加物の過剰摂取は、味覚障害につながります。若者の味覚障害が増えているのは、食生活の偏りが大きな原因です。ジャンクフード・コンビニ弁当・レトルト食品を控えめにして、できるだけ自炊を心がけてください。カシューナッツ・かずのこ・ごま・納豆・牛肉など亜鉛が多く含まれている食材を食べましょう。野菜・魚介類・肉類とバランスのとれた食事が好ましいです。

5-2.サプリメント

どうしても栄養が偏ってしまう場合は、サプリメントを利用するのも方法の1つです。亜鉛が凝縮されているサプリメントが販売されています。亜鉛サプリメントを毎日摂取していけば、自然と症状がやわらぐ可能性もあるのです。ただし、薬との飲み合わせには注意してください。薬を服用している方は、かかりつけの医師に相談しましょう。

5-3.そのほか

過度な喫煙が味覚を低下させる恐れがあります。喫煙している方は、この機会に禁煙を始めてみてください。急に禁煙するというのは難しいので、少しずつ本数を減らすことをおすすめします。また、常に口の中を清潔に保つことも大切です。ブラッシングや定期検診など、口腔(こうくう)ケアを行いましょう。

5-4.NG行為

最近、よく見られるのが“無理なダイエット”による味覚障害です。食事制限をすることで亜鉛不足になってしまいます。また、必要な栄養素が摂取できなくなり、味蕾(みらい)細胞の新陳代謝が起こりにくくなるのです。新陳代謝を活性化させるためにも、1日3食バランスのよい食事をとりましょう。

6.味覚障害にかんしてよくある質問

味覚障害にかんしてよくある質問を5つピックアップしてみました。味覚障害を改善したい方は、ぜひチェックしてください。

6-1.唾液の役割とは?

唾液分泌の低下が味覚障害を起こしているケースがあります。唾液は味の成分を溶かし、味蕾(みらい)へ運ぶ役割を担っているのです。よって、味覚を感じるためには唾液が必要不可欠になります。また、唾液は味蕾(みらい)細胞を保護する役割も担っているのです。唾液量を増やすためには、口腔(こうくう)ケアはもちろん、ガムをかむのも効果が期待できます。

6-2.味覚障害を予防するためには?

最も効果的な予防法は、規則正しい生活習慣を送ることです。特に、食生活に気をつけなければなりません。仕事が忙しくなると外食が多くなりますが、自炊をして栄養バランスをコントロールすることが大切です。

6-3.処方される薬に副作用はあるのか?

味覚障害に使われる亜鉛製剤は、腹部の膨張感・倦怠感(けんたいかん)・神経や腎臓の障害・頭痛や発熱などの副作用が起きる恐れがあります。しかし、副作用が起きる場合は、ほとんどが亜鉛製剤の過剰摂取です。安心して服用するためにも、服用量をきちんと守ってください。

6-4.口内炎や口の渇きがひどい場合はどうすべきか?

味覚障害が起きているときに、口内炎が口の渇きを伴うケースがあります。そんなときは、うがいなどで口腔(こうくう)内を清潔にしてください。

6-5.歯医者の選び方とは?

丁寧な説明を行ってくれるか、味覚障害に対応しているか、きちんと検査を行ってくれるかなど、複数の歯医者を比較してみてください。スタッフの対応やインターネットの口コミ・評判をチェックするのもポイントです。

まとめ

いかがでしたか? 味覚障害は舌についている味蕾(みらい)の味細胞が正常に機能せず、正しい味が感じられない障害です。味を感じない・常に苦い味がするなど、さまざまな不具合が出ます。また、味覚障害の種類は、味覚減退・味覚消失・異味症・解離性味覚障害・自発性異常味覚の5つです。症状や検査で種類と原因を突き止め、適切な治療を行っていけば自然と緩和します。ほとんどのケースが「亜鉛不足」となっているので生活習慣を改善しましょう。特に、栄養バランスの整った食生活を心がけてください。味覚障害の基礎知識をきちんと把握して、セルフケアと歯科または耳鼻咽喉科での治療を行うことが大切です。