好酸球性副鼻腔炎とは、20年ほど前から患者数が増加している難治性の慢性副鼻腔炎です。厚生省が定めた指定難病にも指定されています。「好酸球性副鼻腔炎と診断されたが、指定難病に指定されているのを知って不安を感じている」という人もいるでしょう。好酸球性副鼻腔炎の原因ははっきりと分かっていませんが、アスピリン不耐症(アスピリン喘息含む)を発症している人に発症例が多いことが報告されています。
今回は、好酸球性副鼻腔炎とアスピリン喘息の症状や治療方法などを紹介しましょう。
この記事を読めば、好酸球性副鼻腔炎を治療できる歯科医院の選び方も分かるでしょう。好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息について知りたい人は、ぜひ読んでみてくださいね。
好酸球性副鼻腔炎の基礎知識
はじめに、好酸球性副鼻腔炎の原因や症状、一般的な副鼻腔炎の違いを紹介します。
1-1.好酸球性副鼻腔炎は白血球の炎症が原因
通常の副鼻腔炎は、外部から細菌やウィルスが副鼻腔に侵入して炎症を起こす病気です。一方、好酸球性副鼻腔炎は鼻汁に含まれる好酸球(白血球の一種)が増殖し、炎症が起こって発症します。現在のところ、好酸球性副鼻腔炎の患者さんはすべて20歳以上で、15歳以下の発症は認められていません。前述したように、厚生労働省により指定難病に指定されています。
1-2.特徴的な症状は鼻茸
好酸球性副鼻腔炎の主な特徴は、両側の鼻腔内にできる鼻茸です。鼻茸は鼻腔内にできる良性のポリープで、一般的な副鼻腔炎を発症してもまれにできることがあります。好酸球性副鼻腔炎の場合、鼻茸がたくさんできて手術や服薬で取り除いても、すぐに再発しやすいのが特徴です。鼻茸により、重度の嗅覚障害を併発することもあります。
1-3.気管支喘息を患っている人が併発することが多い
好酸球性副鼻腔炎の患者さんは約2万人と言われています。一般的な副鼻腔炎の患者さんが100万~200万人なので、1%弱です。女性より男性のほうが発症しやすく、アスピリン喘息を含むアスピリン不耐症や、気管支喘息と併発する例が多くなっています。また、好酸球性副鼻腔炎を発症した後で気管支喘息を発病することもあるのです。
好酸球性副鼻腔炎とアスピリン喘息の関係
この項では、アスピリン喘息の症状や原因、好酸球性副鼻腔炎との関係を紹介します。
2-1.アスピリン喘息は過敏反応の一種
アスピリン喘息は、アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDsなど)を服用すると、激しい咳(喘息症状)や鼻汁が出る体質を持った人を指します。なぜ、アスピリンを服用するとこのような症状が出るか、まだ原因ははっきりと分かっていません。成人の喘息患者の5~10%がアスピリン喘息の傾向があるという報告もあります。男性より女性のほうが患者数が多く、20~40代でを喘息を発症し、しかも症状が重篤な人はアスピリン喘息を持っている傾向が高いのです。
2-2.アスピリン喘息はアレルギー検査で発見できない
アスピリン喘息は、通常のアレルギー検査では分かりません。非ステロイドの飲み薬だけでなく、湿布・座薬・塗り薬・吸引薬でも発症します。ですから、非ステロイドの解熱剤(風邪薬含む)を服用し、喘息のような症状が急に現れた場合、すぐに病院を受診してください。
2-3.アスピリン喘息の人は好酸球性副鼻腔炎を併発しやすい
因果関係はまだはっきりと分かっていませんが、アスピリン喘息の人は好酸球性副鼻腔炎を発症しやすい傾向にあります。アスピリン喘息の人が重篤な鼻づまりを発症した場合、好酸球性副鼻腔炎を疑いましょう。また、アスピリン喘息と好酸球性副鼻腔炎が併発した場合、症状が重症化しやすく、再発率も高くなります。
好酸球性副鼻腔炎の治療法
この項では、好酸球性副鼻腔炎の治療方法や手術がすすめられる症状、病院の選び方を紹介します。
3-1.軽傷の場合は薬物治療が中心
汚い鼻汁が出るがそれほど鼻茸が発症していない場合は、抗生物質を内服します。鼻汁が透明になるが鼻づまりが持続している場合は、ステロイド内服薬を服用する治療方法が一般的です。投薬期間は3か月で、症状を見ながら量を減らしていきます。鼻茸が小さくなり、鼻づまりが解消したら治療はいったん終了です。
3-2.重症の場合は手術で鼻茸を除去する
ステロイドを服薬しても鼻茸が小さくならず、鼻茸が再発をくり返す場合は、鼻茸を除去する手術をすすめられることもあります。手術は1泊2日~受けることができ、病院や症状によって入院日数が異なるので、意志とよく相談して手術を決断してください。手術で鼻茸を取り除いた後で服薬治療を行えば、症状が好転することがあります。なお、健康保険が適用になるほか、指定難病に指定されており、年収によって治療費の補助が出るので詳しくは病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。
3-3.治療実績が豊富な病院で治療を受ける
好酸球性副鼻腔炎は、治療実績ができるだけ豊富な病院で治療を受けましょう。特に手術をすすめられた場合は、同じ症例の手術数が多い病院で受けると予後もよい傾向があります。現在はサイトを解説している病院も多く、治療実績をスマホやパソコンから確認できるので便利です。また、かかりつけの耳鼻咽喉科がある場合は、紹介状を書いてもらうこともできます。
好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息に関するよくある質問
この項では、好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息に関する質問を紹介します。
Q.好酸球性副鼻腔炎は20歳以降では誰でも発症する可能性があるんですか?
A.はい。喘息を発症していなくてもリスクはあります。
Q.普通の副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎の見分けは個人でもつくでしょうか?
A.鼻茸が大きくなればつく可能性がありますが、鼻づまりが1週間以上続き改善の兆しが見られないようならば、病院を受診してください。
Q.好酸球性副鼻腔炎の診断はどの耳鼻咽喉科でも下せますか?
A.比較的新しい概念の疾患ですし、基本的には診断にCT所見が必要とされています、その他に血中の好酸球数を調べたり、確定診断には組織の採取も必要で手術を行っているような耳鼻科でないと確実な診断は難しいかもしれません。好酸球性副鼻腔炎を従来の副鼻腔炎として治療されて、改善が認められないケースも良く遭遇します。
Q.アスピリン喘息は治ることはありますか?
A.体質ですので、完治は難しいでしょう。
まとめ
今回は、好酸球性副鼻腔炎の原因や症状、アスピリン喘息との関係を紹介しました。アスピリン喘息の人は、好酸球性副鼻腔炎の発症リスクが高くなっています。鼻づまりが続くようならば、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。