口腔(こうくう)環境を気にすることはありますか? 歯周病、歯石、口臭、咬合(こうごう)など、口腔(こうくう)内を見直すポイントはさまざまです。虫歯もその一つ。虫歯と聞くと、どうしても子どもがなるイメージを強く持つ人がいますが、大人でも実は多い現象なのです。
虫歯は、歯の食べカスが残っていることで、それをえさにした虫歯菌が繁殖し酸を発生させ、歯を溶かしてしまうもの。進行してしまうと、自覚症状も強く表れ、慌てて歯科医院に駆け込む人もいます。
その虫歯の原因に、ストレスが大きくかかわっていることがわかってきました。ストレスと虫歯の意外な関係を考えていきましょう。
1.虫歯とストレスの関係
虫歯とストレスがかかわっているのは、誰もが驚く事実ですよね。忙しい現代人は、何かとストレスにさらされる機会が多く、虫歯と隣り合わせにあるといってもいいでしょう。
虫歯とストレスとは、どのような関係があるのかをご紹介します。
1-1.唾液の減少
ストレスを感じたとき、人の交感神経は過剰に反応し、これによって唾液の分泌が減少します。唾液が少なくなると、口の中がカラカラに渇いた状態になり、口腔(こうくう)内の細菌を排除する力が弱まってしまうと考えられ、虫歯の発生につながるようです。
妊娠中には、胎児にカルシウムを奪われることによって、妊婦の歯がもろくなったり、歯が抜けたりするといわれていましたが、これもストレスが関連しています。妊娠中のつわりや体調や環境の変化によるストレスが、口腔(こうくう)内の環境にも影響し、唾液の減少にを招いているからです。
妊娠中の女性に限らず、受験生やプレッシャーを感じる状況にある人も同じように、口腔(こうくう)内の環境が変化していると考えていいでしょう。
1-2.pHバランスの崩れ
ストレスを感じることで、副交感神経の働きが鈍くなります。副交感神経は、唾液の分泌に大きくかかわっている神経です。これによって、唾液がうまく分泌されず、口が渇いた状態つまりドライマウスになってしまいます。唾液によって、口腔(こうくう)内は酸を中和し、pHバランスを維持していますが、唾液減少によってこのバランスが崩れてしまうようです。唾液が少なくなれば、酸がうまく中和されず、虫歯菌の活動を促進させてしまい、口腔(こうくう)環境悪化につながってしまいます。
ストレスによって虫歯が発生するメカニズムは、こうした口腔(こうくう)内の環境が乱されることが原因となっているようです。
2.口腔(こうくう)内の環境を維持するために
ストレスが原因の虫歯は、大人にとっても深刻な問題です。しかし、虫歯ばかりに注目するのではなく、口腔(こうくう)環境そのものを見直し、衛生的な状態を維持していくように改善することが必須ではないでしょうか?
口元は、生命の始まりでもあります。口腔(こうくう)環境の美化は、健康の源といわれるほど、大切な器官です。健康的な生活のためにできることを考えてみましょう。
2-1.こまめなブラッシング
歯の健康のためには、まずこまめなブラッシングをすることが第1です。ブラッシングが大切とはいえ、ゴシゴシ磨きは逆効果。歯肉や歯の表面にあるエナメル質を傷つけてしまう可能性があるので、磨き方にも注意しましょう。歯ブラシを軽く持ち、磨くときはフェザータッチで優しく撫(な)でるように行うのがポイントです。
ブラッシング不足は、食べカスを残してしまう原因。歯のすき間、歯と歯茎の間に歯垢(しこう)を残してしまい、虫歯に発展してしまいます。歯周病も引き起こしてしまうので、ブラッシングは口腔(こうくう)環境を維持していくうえで、とても大切なことです。
2-2.歯科医院での定期的なクリーニング
日々のセルフブラッシングは基本として大切なことですが、やはり定期的に歯科医院でチェックを受けることは、大きなトラブルを防ぐためにも重要です。肉眼では見逃している汚れや、トラブルの種を未然に発見するチャンスでもあります。特に自覚症状の少ない歯周病では、歯科医院での定期的なチェックでしかわからないことがほとんど。
歯科医院では、予防歯科に注力しているところが多くあります。定期健診を兼ねて、数ヶ月に1度はクリーニングを行うようにしましょう。メンテナンスの一環として、習慣づけられるようにすれば、常に口腔(こうくう)環境をきれいな状態にしておくことが可能です。
さまざまなケースを見てきている歯科医院だからこそできる、口腔(こうくう)内についてのアドバイスを受けることもできますので、セルフチェックに役立てて、自分の意識を変えていけるようになることでしょう。
2-3.小さいうちにできること
小さなお子さんは、まだぶくぶくうがいが上手にできない場合があります。口腔(こうくう)環境をきれいにしておくことは、生涯の歯を守っていく軸です。子どものころからデンタルケアを始めるようにして、習慣づけをしていきましょう。
ぶくぶくうがいができないお子さんには、食後にお茶や水を飲ませるなど、うがいのベースとなる習慣を取り入れていくと、食後は口の中がさっぱりすると気持ちがいいという感覚を身につけることができます。
3.ストレスを緩和するコツ
ストレスと虫歯の関係は、前述でご説明したとおりです。ストレスは、現代の忙しい人や受験生などにとって、切っても切れないものとなっています。それによって、知らず知らず歯を食いしばっていて、顎関節症に発展してしまうこともあるようですので、ストレスは見逃せない要因です。
ストレスをなくしてしまうことは難しい問題ですが、それを緩和していくように工夫してみましょう。
3-1.睡眠を取る
ストレスを感じると、交感神経の活発化します。これにより、脳が覚醒した状態になり、緊張が続いているような感覚を覚えるのです。安らぎを感じることができず、安眠の妨げとなり、ぐっすり眠れないという睡眠障害にもつながってしまいます。
睡眠不足は、疲労を蓄積させ、さらなるストレスを生み出してしまう結果にも。
眠る前は少し明かりを落として、入眠しやすい状況を作り、脳を休ませるようにするような雰囲気を作っていきましょう。
しっかり休息を取ることが、ストレス緩和への近道です。
3-2.趣味を作る
忙しく過ごしていると、趣味や好きなことへの時間がなかなか避けないと諦めてしまっていませんか? そうした自分のための時間を持つことは、自分の心を解きほぐすポイントです。
多忙な時間の中でも、夢中になれることを見つけて、充実したときを過ごすことが、ストレスを緩和していくことにつながるでしょう。
自分磨きとも呼ばれる趣味の時間は、自分に自信を与えてくれるものです。輝いている自分を再発見することで、ストレスを感じていた自分を遠ざけてくれるきっかけになることでしょう。
4.まとめ
ストレスと虫歯の関係についてご紹介しました。いかがでしたか?
- 虫歯とストレスの関係
- 口腔(こうくう)内の環境を維持するために
- ストレスを緩和するコツ
忙しい現代人には、ストレスはどうしてもつきまとう問題です。それが原因でドライマウスを招いて、虫歯へ発展させてしまうのはなるべく回避したいもの。口腔(こうくう)環境をきれいに保つように意識をしながら、原因となるストレスを緩和するようにしていきましょう。