なで肩をなんとかしたいと悩んでいませんか? なで肩とは鎖骨が外側に向かうにつれて下がっている状態のことで、特に、日本人女性に多いと言われています。「キャミソールのヒモやリュックがずり落ちてしまう」など、ファッションの悩みをお持ちの人も多いでしょう。しかし、なで肩の問題はそれだけではなく、肩こりや背中の痛みが発生する原因にもなるのです。
なで肩の原因を知り、その影響や治し方について考えてみましょう。
そもそも「なで肩」とは?
なで肩かどうかを判断するのはほとんどが「見た目」だと思います。そもそも「なで肩」とは、どのような状態のことを言うのでしょうか。
1-1.なで肩の定義
肩の位置が水平ではなく、通常よりも低い位置にあるのがなで肩。つまり、鎖骨と肩甲骨の高さが水平の位置より下がっているため、肩に傾斜ができてしまうのです。そのため、リュックなどがずり落ちてしまい、不便な思いをすることも多いでしょう。
女性の場合は「華奢(きゃしゃ)に見えてよい」と思う人もいます。実際に、着物はなで肩の方が似合う場合が多いでしょう。しかし、男性にとってはひ弱なイメージがあるため、悩みも大きいはずです。
1-2.なで肩は「猫背」に似ている
なで肩は、首の付け根から肩の先端にかけて下がっている状態です。細かく説明すると、肩甲骨が外側に開いています。そして、鎖骨と肩甲骨が下を向いてしまっているため、背中が丸くなるのです。
背中が丸くなると、頭も前側に移動しやすくなり、いわゆる「猫背」と非常に近い状態になります。猫背の人が肩こりを起こしやすいのと同じように、なで肩の人も同様の悩みを持っていることが多いでしょう。
原因が「生まれつき」じゃない人も
もちろん、生まれつきの骨格が原因でなで肩になっている人もいます。しかし、後天的な原因が関係している場合もあるのです。
2-1.重いカバンを肩にかけることが多い
毎日のように思いカバンやリュックを肩にかけている人は、なで肩になりやすいと言われています。肩に重い負荷がかかるため、肩甲骨や鎖骨が下に下がってしまうのです。また、同じがわの肩に重いカバンをかけるクセがある人も注意が必要。左右のバランスが悪いなで肩になってしまう可能性があるでしょう。
2-2.猫背
なで肩と猫背が似ていることはご説明したとおりです。背中を丸めた猫背の状態は、肩が内側に入った「巻き肩」になってしまい、なで肩に見えるでしょう。おなかや背中の筋力が弱っている人は、正しい姿勢で立ったり座ったりするのがつらいものです。ついおなかの力を抜いて、楽な姿勢をとってしまいがち。巻き肩による猫背が定着しないように、長時間のスマホ使用なども控えるようにしましょう。
2-3.重いものを下に引っ張る動作が多い
日常的に肩甲骨を下に引っ張るような動作が多いと、肩甲骨の位置が下がってきてしまいます。たとえば、仕事で常に重いものを引っ張るような動作が続く人は注意が必要でしょう。肩甲骨を囲む筋肉が緊張しやすくなり、周囲の筋肉がバランスを崩してしまいます。鎖骨や肩甲骨が下の方向に引っ張られてしまうでしょう。
なで肩が与えるさまざまな影響
なで肩が周囲に与える外見的な悩みは大きいでしょう。しかし、そのほかにもなで肩が与える影響はたくさんあります。
3-1.外見的な悩み
なで肩は猫背に似ているため、姿勢が悪く見えてしまいがちです。姿勢の悪さが周囲に悪印象を与えるシーンも多いため、損をすることも多いのではないでしょうか。
また、肩幅が狭いため、市販の洋服がフィットしにくいという問題もあります。特に、スーツなどは着丈が長くなり、バランスが悪く見えてしまうでしょう。タンクトップやキャミソールなど肩が出るものや、ぴったりとしたタートルネックなど、肩のラインを強調する洋服は避けた方がよいと思います。
3-2.肩がこりやすい
なで肩の人は肩こりが起こりやすい傾向にあります。本来、肩は水平になっており、腕の重みは肩までにしかかからないのです。しかし、なで肩の場合は肩が大きく傾いているため、腕の重さが首にまでかかってきます。そのため、首や肩、背中を支える筋肉が疲労し、肩こりが起こりやすくなるのです。
3-3.胸郭出口症候群の可能性も
胸郭出口症候群は、肩や腕が下がることでその重みが神経にストレスを与えるために起こる病気です。神経や血管が圧迫を受けるため、腕のしびれや背中の痛み、指先の冷えやむくみといった症状が現れます。もちろん、なで肩だと必ずこの病気になるわけではありません。ただし、普通の状態と比べて発症リスクは高いと言えるでしょう。
筋トレでなで肩が治る!
なで肩は努力次第で治すことが可能です。筋トレをはじめ、なで肩の治し方として有効的なものをいくつかご紹介しましょう。
4-1.広背筋ストレッチ
猫背が原因でなで肩になっている場合は、広背筋を緩めるストレッチが効果的です。広背筋とは、背中の下方にある筋肉のこと。この筋肉が緊張するとなで肩になるため、ストレッチをして筋肉を緩めましょう。
まず、四つん這いになって胸を床につけるように腕を伸ばします。息を吐きながらこの状態を20秒ほどキープしましょう。このストレッチを3回ほど繰り返すと効果があります。
4-2.三角筋トレーニング
三角筋とは、肩全体を覆っている筋肉のことです。この筋肉を鍛えることでなで肩を改善できるでしょう。
両手にダンベルを持ってまっすぐに立ち、ひじを軽く曲げた状態で腕を曲げます。肩の高さまでダンベルが来るようにし、ゆっくりと元の位置まで戻してください。
このトレーニングも、3回ほど繰り返すと効果的です。ダンベルがない場合は、ペットボトルに水を入れて代用しましょう。
4-3.筋肉強化トレーニング
なで肩を根本的に改善するには、筋肉を強化することが必要です。手軽にできる筋トレ方法をご紹介しましょう。
まず、肩を思いきりすくめたような形をつくり、肩先を耳たぶに近づけてください。背筋をしっかり伸ばし、床にあぐらをかきましょう。
次に、背筋をのばしたまま、肩の力を抜いて元の状態に戻します。
この動作を10回繰り返しましょう。
4-4.筋トレ以外にもやるべきことはある
なで肩を治すために、筋トレは効果的です。しかし、そのほかにも日常生活で注意すべき点はたくさんあります。たとえば、できるだけ重いものを持たない、重いバッグを肩にかけないなど、肩甲骨を下に引っ張る状態を作らない工夫をしましょう。
また、普段から猫背にならないよう正しい姿勢を意識することも大切です。歩ときも座っているときも、腹筋を使うよう意識してください。特に、スマホやパソコンをよく使う人は、巻き肩にならないように気をつけましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? なで肩の原因や改善方法についてご説明しました。「なで肩は治らない」と思っている人は多いでしょう。しかし、少しの努力で改善することは十分に可能なのです。あなたも自分に合った方法を見つけて、気になるなで肩を治してください。